26歳 製造会社の事務員 女性 ましろさん 山口県下関市で本当にあった怖い話
これは、私が社会人になって4年が経った頃に体験した実話です。
今でもあの心霊現象を思い出すと、ゾワゾワと背中に嫌な悪寒がします。心霊の怖い話を、まさか自分も体験することになろうとは思ってもいませんでした。
福岡から山口の実家に帰省した
私は山口県下関市にある実家を離れ、福岡に就職しました。
海を挟んでいるとは言え隣の県なので、車で一時間程の距離です。そのため連休以外でも頻繁に実家に戻っていました。
実家は祖父が建てたものでそれなりに年期も入っており、まさに田舎の古い和風の一軒家。
すぐ隣が雑木林ということもあり、小さい頃は夜のトイレが大変怖かったのを覚えています。大人になってからも、少し怖いと思うことが度々あるくらいですから。
実家を出てアパート暮らしを始めた時は、新しく綺麗な部屋にとても感動しました。今住んでいるところも新築で綺麗だし、7階だから実家みたいに虫が出ることもなく本当に快適です。
誰もいないはずの家に人の気配
いつもなら家に必ず誰かいるのですが、その日は両親が旅行で不在でした。そんな日にわざわざ帰らなくても良かったのですが、確かその時は季節の変わり目ということもあって、衣替えをしてまとめた服達を実家に持っていきたかったんです。
そして実家に着いた私は母に言われた通り、指定された植木鉢の下にある鍵を使って家の中に入りました。田舎ということもあって普段鍵は開いたままなので、すこし新鮮な気持ちだったのを覚えています。
用事を済ませてから実家に向かったので、実家についた頃にはすっかり日が暮れていました。玄関を開けると、当たり前ですが中は真っ暗。そこで私は少し嫌な雰囲気を感じました。
「真っ暗な玄関を見慣れていないからだろう」と結論づけたのですが、今思えばそれはただの勘違いではなかったのです。
私の部屋は二階にあるため、リビングを抜けて二階へと上がらなければいけません。
持ってきた服の量がかなりあったので両手がふさがることを考えて、まずは玄関・廊下・階段・二階の自分の部屋、と電気を全て付けてから車に戻りました。
中々の大荷物でしたが、全て抱えて自分の部屋へと向かいました。
すると、自分の部屋の電気だけ消えていたんです。
「確かに着けたはずなのに」と思いつつ、荷物を真っ暗な部屋に投げ入れてから再び電気をつけました。
そしてダラダラと大量の服を押し入れへと仕舞っていた時です。
ミシ、と部屋の外から足音のような床の軋みが聞こえたんです。
「ただの家鳴りかもしれないし」と自分に言い聞かせつつも、私は少し怖くなってきました。
「気のせい気のせい」
と思いながらも、服を仕舞っていく手は早くなります。心霊かも、という可能性をなんとか消そうとしていました。
すると今度は、タタタッと明らかに部屋のすぐそばの廊下を何かが走り去っていく音が聞こえたのです。
その音は軽く、まるで子供が走っていくようでした。はっきりと聞こえたその足音で、もう気のせいとは言えません。
私はいてもたってもいられなくなり、服を無理やり押し入れに詰め込んで慌てて部屋から出ました。
恐ろしくてたまらなかったのですが、極力平常心でいようと努めました。叫んだり走ったりすれば、心霊を刺激するような気がしたのです。
「電気消した、オッケー」「鍵も持った、鞄もある、忘れ物なし!」と独り言を言いながら、なんとか気を落ち着かせようとしていました。今思うとかなり気が動転していましたが……。
再び足音と、消したはずの電気が
玄関に着いて、早く家から出たいと気が急いていた時に、今度はドタドタドタッ!と階段を駆け下りるような音が聞こえました。
どうにか保とうとしていた平常心もこの一瞬で崩れ去り、「もうやめて!」と泣きそうな声で叫んで慌てて玄関を出ました。
恐怖心でいっぱいでしたが、どこか冷静な部分もあったのかちゃんと鍵は植木鉢の下に仕舞い、急いで車に乗り込みました。もうここまでくれば安心だろう、と思うと緊張が解けたのか涙が滲みます。
そしてエンジンをかけてすぐさま家を出ようとした時、最後にふと家に目をやりました。
私の部屋の電気がついていたんです。
「確かに消したはずなのに」
電気を消した覚えは確かにありました。そう言えば、家に入るときも付けたはずの電気が消えていた・・・・・・
背筋がスっと寒くなりました。
母に怒られるかもと思いつつも再び家に戻る勇気はなく、そのまま車を発進させました。
あの足音はまだ実家に?
アパートに戻ってからも、夜がずっと怖くて、誰かの家に泊まりに行くか、それが無理な時は長電話をするようになりました。
もちろん、実家に帰る頻度はかなり落ちました。両親にも、あの日の体験のことは言えていません……
着けたままにしていた電気についても、結局何も言われていないのです。わざわざ言うことでもないと思ったのか、それともあの後、またあの“誰か”によって電気が消されたのか、私には確認する勇気がありません。
もしかして私がいなくなったあの部屋を、あの子供の心霊が使っているのかと思う時があります。
真っ暗な景色の中、私の部屋だけポツリと電気のついていたあの光景が、今でも目に焼付いて離れません。
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