28歳 元看護師/農業 女性 たっどぽーるさん 鹿児島県志布志市で本当にあった心霊の怖い話
これは私が2年前の8月に体験した実話です。
法事で鹿児島にある叔父の家を訪れ、数年ぶりの再会に話も弾み、時刻はあっという間に真夜中になっていました。
蒸し暑い夜、皆お酒で気が大きくなっていたこともあり、「ちょっと怖い話でもしようか」という流れになった時、ベロベロに酔っぱらって寝ていたはずの叔父が起き上って「近くに面白い廃墟があるぞ」と言い出しました。
叔父にすすめられた心霊スポット、それは鹿児島県志布志市の海岸沿いにある、『DRIVE IN 志布志パラダイス』。
かつて多くの人で賑わっていたであろうその場所は、今や恐怖の渦巻く廃墟と化していたのです…
突然のカーナビの不調
お酒を飲んでいなかった従兄を運転手に、私と従弟、従兄の友人の4人で心霊スポットに向かったのは、もう日付も変わるくらいの時刻でした。
昼間はツーリングの人々や近くの『イルカランド』を訪れる観光客でそこそこ車通りのある道も、夜中は寂しく真っ暗です。
難しい道ではないとはいえ、念のためカーナビを設定して向かっていたのですが、志布志パラダイスに近付くにつれどうもナビの調子がおかしい。
一本道のはずなのに、「ルートを再検索しています…」と出たかと思えば、「右へ曲がってください」と明らかに地元の人しか使わない農道のような所へ案内しようとする。
普段なら気味が悪くなるところ、そこは酔っ払いなので「早いね~、攻めてくるね~!」と変なテンションで盛り上がりながら進み、暗闇に白い壁の廃墟がぼんやりと見え始めた時、「目的地に到着しました」と車内にいきなりの大音量が響きました。
足に纏わりつくもの
入り口に張ってあるロープの前に車を停め、一人ずつ懐中電灯を持って敷地の中に入ります。
倒壊して逆さになった『DRIVE IN 志布志パラダイス』の看板を通り過ぎると、右手には『ロイヤル※※…』と書かれ、ツタに覆われた雰囲気たっぷりの小さな廃墟がありました。
折角来たのだからこちらにも入っていこうということで、本来の入り口であった場所から従弟が侵入を試みましたが、鬱蒼と茂る草木に阻まれてほとんど奥に進めない様子。諦めて戻ってきかけた従弟でしたが、突然「いてぇ!」と叫んで、半ば転ぶようにして廃墟から出てきました。
見ると右の靴下の足首部分にセンダングサ(服にくっつく草の種)がビッシリ。
暗闇で靴下に着いた種を取りきることは不可能なので、従弟は裸足で歩き始めましたが、その右の足首には昆布のような黒い長いものが巻き付いたままでした。
本人は「まだ痛い」と言いながらも、その存在には気づいていない模様。
私はひょっとして本当に「出る」場所に来てしまったかもしれないと後悔しつつ、運転手無しでは帰ることもできないので、まだテンションの高い男性陣について『志布志パラダイス』へと向かいました。
フランス人形と赤いビー玉
崩れかけたコンクリートの廃墟の中はひやりと涼しく異様な雰囲気で、ほとんど窓がないせいか埃っぽさがこもっていました。
天井から垂れる針金。思ったよりも落書きのない白い壁。正面入り口の左手の柱には鏡があり、懐中電灯を持った自分たちの姿が不気味に映ります。
「…見てたら人数が増えてたりして」と真後ろで余計なことを言った従兄をどつき、土くずのようなものが散乱する中を奥へ進むと、突き当りの小さな棚のような所に薄汚れたフランス人形が置かれていました。
おそらく他の肝試し客が怖がらせようと思って置いたものなのでしょうが、大きなガラスの瞳に懐中電灯の光が反射していかにも恐ろし気に見えます。
2階建ての建物なのですが、登って崩落すると危ないだろうと1階だけを散策し、特に何も起きないまま入り口に戻ってくると、先程通ってきた道の真ん中に真っ赤なビー玉が一つ、たった今置かれたように落ちていました。
「こんなんあったっけ?」「気付かなかっただけであったんだろ」と口々に言いながら、酔いも醒めて怖くなり出した私たちは、そろそろ廃墟をお暇することにしたのでした。
暗闇から近付くのは人か、それとも…
車に向かって歩いていた時、廃墟とは反対の海岸の方から「カランカラン…」とアルミ缶を蹴るような音が聞こえました。
そちらを懐中電灯で照らしてみると、両脇に草が生え、上からは木の根が伸びて塞がりかかっている、地下に向かう小さな階段がありました。
「地下道の空き缶が風で転がっているんだろう」という話になりましたが、しばらく聞いていると「カランカラン…カランカラン…」と、音がこちらに近付いてくるような気がします。
ここでまた好奇心旺盛な従弟が「ちょっと降りて見てくる」と言い、皆が懐中電灯で照らす中階段を中ほどまで下りた時、すぐ側の暗闇で「カンッ!」と力強く缶を蹴ったような音がしました。
ヤバイ!何か来る!と全員ダッシュで車に向かいましたが、私の少し前を走っていた従弟が突然信じられない勢いで転倒。
その右足にちらりと黒いものが見えたような気がした私は従兄の友人と一緒に従弟を引き摺り、車に押し込んで急いでその場を後にしました。
その後、心霊現象かどうかは分かりませんが、従兄の友人は1ヶ月に2度もバイク同士でぶつかる事故に遭いました。
一番廃墟を満喫していた従弟には、まだ何の影響も出ていないようです。
現在30歳の従兄は、20数年前『志布志パラダイス』がまだ営業していた時に、亡くなった祖父と訪れたことがあったそうで、「いつも穏やかだったじいちゃんが料理の間違いで滅茶苦茶キレてた。あれが一番の怪奇現象」と懐かしそうに話していました。
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