39歳 フリーランサー 男性 ポチポチパンダさん 北海道中富良野町奈江で本当にあった怖い話
僕が大学二年生の時に、体験した実話です。僕は心霊物が大好きで心霊スポットによく行っていました。
その時に、ビデオカメラを持参して幽霊が映らないかと撮影していました。
そのせいか、心霊物の他に撮影全般も趣味になっていました。そんな時に、大学の自称ワンダーフォーゲル同好会に記録係を頼まれたのが、今回の話の始まりでした…
始まりの朝
その日は、教授に呼ばれて早朝から大学に居ました。呼ばれた理由は、足りない単位をくれる代わりに「雑用をしろ」というだけで、その時は雑用の内容は分かりませんでした。
呼ばれた所で少し待っていると、バラバラと人が集まってきました。
僕は内心「こんなに単位が足りない人がいるのか」と思っていました。
しかし、僕以外の人は出来たばかりの「ワンダーフォーゲル同好会」の人たちでした。
僕は、部長を名乗るDに「○○教授に雑用として呼ばれたんですけど、何をすればいいんですか?」するとDは「この機材を使って撮影をしてくれればいいだけだよ。
カメラが趣味なんでしょ?」詳しく話を聞いた結果、部員を集めるために宣材ビデオの撮影でした。もちろん教授が顧問です。
行き先を急遽変更
さっさと車に荷物を詰めて目的地に向かうため発車しました。その目的地とは富良野岳でした。
往復8時間蔵の登山で下山後にBBQも行い「楽しくて健全」をアピールするとの事でした。
道中はずっと、「部員が増えるといいよね」とか「就職に有利になるんでしょ」とか、ワンダーフォーゲルそっちのけで話していました。
もう少しで富良野に入るという所で、Dの携帯電話が鳴りました。Dは神妙な面持ちで「はい、はい、はい。わかりました。出来るだけ早く帰ります」と電話口の人に話していました。
副部長のFはDに「なに?なんかあったの?」と聞くとDは「部室が不審火でボヤ騒ぎになったらしいんだ。だから早く帰って来いって…」ワンダーフォーゲルの面々は「何で火事になるの?」、「全然意味わかんないんだけど」と少し怒り気味でした。
僕は理由を聞くと、Dが「部室といっても6畳ぐらいの窓のない部屋なんだけど。出来たばかりだから、今持って来ている荷物以外は部室には何も残っていないんだ」と落胆の表情で話してくれた。
僕は、「出来たばかりでボヤってまずくないですか?」とDにいうと、Dは頷くだけでした。
しかし、せっかく現場近くまで来ているので、何かしらの宣材を撮って帰ることをFが提案し適当な山に入って少しだけBBQと登山の映像を撮る事にしました。
今思えばこの時から、何かに呼ばれていたのかもしれません。
不自然な車
適当に入った山の駐車スペースには、先客がいました。するとDが「山菜の時期だから、採りに来た人だろ」といい荷物を降ろしていました。
しかし部員Aは、その車に興味を持ったのか車に近付きました。するとAは「これなんか変じゃないですか?」とDに話しかけました。
Dが「何が変なんだ?」とAに聞き返すと、Aは「車にカギを掛けてないし、そもそもエンジンかけた状態でエンスト(燃料切れ)してますよ」というのだ。
Aのいう事は誰が聞いてもおかしなことでしたが、Dは「ガソリン少ないの忘れてて、なお且つエンジン切り忘れただけだろ」と安易な答えを出していました。
D以外は、この不自然な車のせいで疑問がたくさんでした。
しかし、普段は幽霊や心霊を求めて撮影しているのに、この時は本当に怖い体験をするとは思いませんでした。
持ち主を発見
標高が高い山でもないが、宣材のためにみんな演技をしながら山を登り始めました。本当に順調な出足でしたが、Dがキノコを見つけた事で状況が変わります。
それは、Dが落葉キノコを見つけて「みそ汁やキノコ鍋にするとおいしんだ」とカメラに向かって話し、同好会全員でキノコを探し始めました。
すると不思議な事に、「あった」、「こっちにもあった」という同好会の人を撮影していると、僕には道のようにみえました。
すると、Dがカメラに向かって「車の持ち主を発見!」といいながら前方に向かい指をさしました。
そして、同好会メンバーは「おーい」と声をかけると、かすかに「はーい」とか「おー」みたいな返事が返ってきました。その事でDは、「やっぱりおっちょこちょいだったべ?」と自信満々な顔をしていました。
しかし、その人に近付くにしたがって不審な事が…
その人は木に向かった状態で立っていて全く動かないのです。その事に気付いたDは、「立ションでもしてんだべ」と言いながらその人に近づいていきます。Dがある程度近付いた時でした。
「ギャー―!」とDは叫びました。僕たちは、キノコを採っていたので気づきませんでしたが、Dの方を見ると完全に腰が抜けていて、その人に指をさしていました。
なので僕らは「どうしたのー」とDに声を掛けますがDは震えながら、その人を指差すだけでした。
なので、僕らも近づいてみると…
その人は、首吊り死体でした。
その人が死体だと分かった瞬間、その場にいた全員がパニックになりました。しかし、パニックになりながらでも、Fは警察に電話をして数十分後に警察が到着し、事情聴取的な物を受けて数時間後に帰宅しました。
帰りの車内はほぼ無言でした。
しかしDが僕に「ビデオカメラにあの時の声入ってないか?」と聞いてきました。もちろん、首吊り死体だと思わずに、ずっとカメラを回していたので、僕らの呼びかけに答えた時の、その人の声が入っているはずでした…
しかし、その場面での映像には声は入っていませんでした。何だか拍子抜けした感じになりましたが、次の瞬間。
「しにたくないよー」
というこもった感じの音声が入っていました。
普段から心霊マニアの僕ですが、思わぬところから怖い話を手に入れました。
後日談ですが、僕たち全員がその日の夢にその人が出た事は言うまでもありません。