37歳 自営業 女性 まさみさん 武蔵小金井駅近くのアパートで本当にあった怖い話
これは私の友人のK子が体験した実話です。K子は生来霊感がなく、幽霊が出てくる怖い話を全く信じてなかったのですが、この出来事をきっかけに考えを改めました。
小金井市の事故物件に入居
当時フリーターをしていたK子は、親の干渉を嫌って一人暮らしを思い立ちました。
しかし貯金も少なく親の援助も望めないときて、入居できる物件が限られてきます。
不動産屋と相談の結果K子が選んだのは、前の住人が自殺した小金井市のアパートでした。
部屋はリフォーム済みで綺麗な上、格安の家賃に比して広く、不動産屋同伴で内見に訪れたK子は一目で気に入りました。
「四階なので防犯面でも安全ですね。三階以下だと空き巣被害も多いですし、若いお嬢さんは不安でしょうから」
「ですね。窓が通りに面してるから、不審者がうろうろしてたらすぐわかります」
などと不動産屋と話し合って外廊下にでると、隣室の住人とばったり遭遇しました。
K子が丁寧に挨拶し後日入居する旨を伝えた所、隣人は表面上は愛想よくしながらも、どこか歯切れ悪く言ったそうです。
「そうね……あなたなら大丈夫じゃないかしら?可愛い子だし」
意味不明な発言に戸惑いこそしたものの、初対面も同然の隣人にそれ以上追及できず、K子は大人しく帰りました。
次々と壊れる電化製品
その後K子は不動産屋と契約を結んで引っ越し、しばらくは悠々自適な一人暮らしを満喫していました。
事故物件に住むといえば多少なりとも気後れするものですが、幽霊を信じてないK子にはもとより関係ありません。私が言うのもなんですが、彼女は結構無神経というか鈍感な所があったのです。
ところが、入居一週間ほどした頃からK子もさすがに無視できない異変が相次ぎました。炊飯器・パソコン・レンジと、部屋の電化製品がとにかくよく壊れるのです。
テレビにノイズが紛れ込んで映像が乱れることは日常茶飯事、かと思えば急にボリュームが跳ね上がって脅かされた事も一度や二度じゃありません。
不動産屋や業者に相談しても原因は不明なまま、K子の胸の内で不安が膨らんでいきました。
窓から手を振る謎の人影
当時K子は某大型古書店で働いていました。友達と遊んだり外食を済ませてくると、帰りは大抵遅くなります。
駅からさほど離れてないのが救いでしたが、ひとりで夜道を歩くのは心細いのが本音でした。
ある夜、住宅街の道を抜けてアパートの前まできたK子は目を疑いました。自分の部屋のベランダの窓に人影が映っているのです。
反射的に空き巣を疑い、通報しようとスマホを掴んだ次の瞬間、さらに驚くべきことが起きました。
窓の向こうの人影がこちらに向かい、大きくゆっくり手を振り出したのです。
K子が全速力でアパートに駆け戻りドアを開け放てば、中はもぬけのからでした。
K子が男を連れ込んだら……
この一件以来、K子はすっかり怖がりになってしまいました。仮に空き巣でも、たった数十秒で痕跡を残さず消えるのは不可能です。
自分が見たのは前の住人の幽霊に違いない、電化製品が壊れたのも霊障が原因だったんだ……。
手を振る幽霊の存在に怯えたK子は同じ職場の彼氏に相談し、週末だけ泊まりに来てもらうことにしました。
当日、K子と彼氏は手を握り合って夜道を歩いていました。おそるおそるベランダの窓をうかがいましたが、今夜は人影が現れず心底ホッとしました。
その後K子は彼氏を部屋に招き入れ、布団を並べて眠りに落ちたのですが……
深夜1時頃、妙な息苦しさを感じて目を覚ましたK子は自分にのしかかる黒い男にぎょっとしました。
男は凄まじい形相でK子の首を締め上げており、あまりの恐ろしさに絶叫しました。
「どうしたんだ!?」
隣で寝ていた彼氏が飛び起きて電気を点けると同時に、幽霊は消滅しました。
前の住人の本性
黒い男に寝込みを襲われた事件がきっかけでK子は引っ越しを決意しました。
K子が部屋を出る日、隣人が教えてくれました。
結論から述べると、K子の前の住人は精神疾患のある若い男でした。彼には当時付き合っている女の子がおり、半ばヒモのような状態で生活していたそうです。
彼女がバイトにでかける時と夜遅く帰ってくる時は、必ずベランダの窓の前で手を振っていたといいます。しかし別れを切り出された事で逆上、首を吊って命を絶ちました。
隣人曰く、K子はその彼女に雰囲気がよく似ているのだそうです。
「噂じゃ他に男ができたのが彼女にフラれた原因って言われてるから、トラウマを蒸し返されたんでしょうね」
まとめ
これがK子が語った実話の心霊体験です。彼女の話を聞いて、事故物件には本当に怖い話があるんだと震え上がりました。黒い男はK子を彼女と取り違えて出てきたのでしょうか?首を絞めた事を考えると、無理心中を企てていたのかもしれません。