54歳 PCヘルプデスク 女性 諏訪さん 愛媛県伊予市で本当にあった怖い話
私がまだ高校生だった頃のこと。大往生した曾祖母がまだ生きていた時の出来事です。ちょっとした幽霊騒ぎがありました。言うまでもなく、実話です。
当時、曾祖母は伯父夫婦の家に同居しておりまして、離れの一角に住んでおりました。曾祖母は97歳で亡くなりましたが、最期まで頭ははっきりしており、認知症などどこの世界の話? という感じで、近所を散歩したり井戸端会議をしたり、悠々自適に老後ライフを満喫しておりました。
そんなある夜のことです。
伯母の話によると、真夜中、突如として玄関チャイムがピンポーン! と鳴ったんだそうです。
こんな時間に誰だろう、と思いつつ、布団に入っていた伯母は玄関に行ったそうです。伯父は釣りを趣味としており、たまに夜中に釣り仲間がやって来ることがあったため、今回もそれか、と思ったそうです。
が、しかし、ドアを開けても誰もいない。
聞き間違いか、と思ってまた寝たそうです。
が、それからしばらくすると、またピンポーン! と玄関チャイムが鳴ったそうです。
再び伯母が玄関ドアを開けたんですが、やっぱり誰もいない。
しかも、またしばらくするとピンポーン。
いったいどういうこと? と伯母は苛立たしさよりも怖くなってきたそうです。こんな時間にピンポンダッシュするようなアホはおらんだろうし、子供が出歩く時間でもない。だいたい、家の周囲は田んぼしかないド田舎の農村地帯。昼間でも廃村かと思われるほど人口密度の低い地域です。
誰もいないってことは、まさか幽霊でも来たのか? 誰かに恨みをかった覚えはないけど、いや、あったりなかったりだけど……。
しかし、一人で行くのはもうヤダ! とばかり伯父を叩き起し、一緒に玄関へ行ってみたそうです。
で、恐る恐る玄関ドアを開けてみたんですが、やっぱり無人。
二人ともぞぞーっとしたそうです。それでなくとも、祖父はとある教団の支部長で、この手の実話はよく聞いています。故に、一気に怖くてなってしまったようです。とても眠る気になれず、夜が明けるまで起きていたとか。
朝になってから判明したことなんですが、近所に曾祖母の友達が住んでおりまして、この方が夜のうちに亡くなっていたそうなんですね。
要するに、曾祖母に最後のお別れを言いにこの友達の幽霊がやって来て、玄関チャイムを鳴らしたのでは、ということです。しかし、玄関に伯母が立ちはだかっていたので中に入れず、何度もチャイムを鳴らしていたのではないか、とのことでした。
数日は、ちょっとした騒ぎでした。母屋に住んでいる祖父母にも即座にこの話が飛んで行ったので、こちらも大騒ぎ。伯父宅から歩いて数分の我が家にも祖母がやって来て、こんなことがあったのよ、と怖い話をいくぶん楽し気に披露してくれました。
が、この怖い話には後日談があります。
何故、玄関チャイムが鳴ったのか、伯父が調べたんですね。
すると、屋根裏を這っているチャイムの配線に問題があったそうです。配線をよくよく見たところ、鼠が齧って銅線が剥き出しになっている部分があったんです。で、鼠が走ってその部分に触れるたびに電流が流れて、ピンポーンと鳴っていたんだそうです。
電気配線に関して全く知識がないため、どういうからくりでそういうことが起こってしまったのか、私には全く判りませんが、とにかく鼠のせいだったということでこの話は解決しました。
なーんだ一件落着。と思われたんですが、しかし、謎は残ります。曾祖母の友人が亡くなった時刻にだけ、何故チャイムが鳴ったのでしょう。鼠がそんなこと知っていたわけありませんし、忖度するわけもないですし。
今も不明です。
幽霊の正体見たり枯れ尾花、というようにすっきり解決とはいかなかったようで、今でも親戚の間では語り草になっております。