30歳 契約社員 女性 あすかさん 秋田県能代市で本当にあった怖い話
これは私が小学校2年生頃に実際に体験した心霊体験です。
私は元々、不思議な体験や心霊現象に遭う確率が非常に高く、そうなってしまったキッカケはハッキリしたものはないのですが、私が4歳くらいの頃に母が亡くなってしまってからそういった経験をよくするようになりました。
キッカケは帰省のとき
その日は秋田県能代市にある父の実家に、父と姉と私の3人で帰省していました。
父の実家はほぼ山の中で、コンビニはおろかスーパーすらも近くになくて、都会から帰省してきた親族たちは全員が口を揃えて「めちゃくちゃ不便だよね~」と言うほどのド田舎です。
そんな不便なド田舎に帰省した理由はお盆、田舎なので親族もかなり多く、父の実家はかなり大きめの家屋でしたが、どこもかしこも人で溢れていました。
大人たちは迎え盆や親族での宴会の準備にバタバタと忙しく駆けずり回り、従兄弟も中学生や高校生が多かったため手伝いに駆り出されていて、小さな子供は私と姉だけでした。
大きい家なので子供がはしゃいで走り回るには充分だったので、姉と二人で探検のように家の中をアッチコッチと動き回っていたと思います。
とにかくその日は賑やかで、もっと人が集まり出す夜が楽しみでなりませんでした。
夕方の電話で
しかし夕方になったくらいでしょうか。
一本の電話が掛かってきたのです。
電話に出たのは父の姉でした。
「えっ?!」
その声に全員が驚き、あれだけガヤガヤしていた家が一気に静まり返りました。
電話を切った伯母は真剣な形相で大人たちと話し出し、何事だと近くに寄って行こうとすると、高校生だった従兄弟が私たちに説明してくれました。
「おじいちゃんが危篤らしい」
危篤という言葉の意味を幼い私は知りませんでしたが、大人たちの様子や従兄弟の表情などで何とか察した気がします。
父方の祖母はすでに亡くなってしまっていたのですが、祖父はかなりの高齢で体も悪く、ここ数年間ずっと病院に入院していたのです。
親族は全員来る時が来たか、といった感じでした。
大人たちは慌てて作業を止め、病院へ向かう準備を始めました。
しかし、病院まではかなり遠く、大勢で駆け付けても逆に時間を食うし病院に迷惑だということで、父と父の兄弟(奥さんや旦那さんも含む)たちだけで向かうことになりました。
ということで、家には子どもたちだけが残されたんです。
どんどん不安な気持ちになってくる
日も暮れ始め大人のいない大きな家に、私は一気に不安になりました。
高校生や中学生の従兄弟たちは、最初は構っていてくれたりしていたものの、そのうち学校の宿題を始めたり、ゴロ寝し始めたりして、気付いたら1番小さな私は一人でテレビを見ていました。
全員居間にはいてくれたのですが、とっても心細かったです。
しばらくボーッとテレビを見ていたのですが、台所の方から
カチャン…カチャン…
と、なにか金属が当たるような物音がしていることに気が付きました。
気になってしまい見に行こうとしたのですが、暗くなり始めている廊下を一人で歩く勇気はなく、姉に声を掛けました。
姉は私と違って怖がりでもなく、心霊などを信じてもいなかったので「なんもいないよ怖がりだなぁ」と笑って私をからかいながら付いて来てくれました。
勝手に鍋が・・・
台所に向かうに連れて、その物音がドンドン大きくなっていき、音の鳴っている原因は必ず台所にある!と確信し、台所に踏み込んでみると…
鍋の蓋が勝手に、少し浮いては落ち、少し浮いては落ちと、繰り返し動いていたのです。
風もない台所、鍋の蓋も昔ながらの鉄で出来た重い蓋。
勝手に浮くなんて有り得ません。
私と姉は思いっ切り悲鳴を上げました。
尋常ではないその悲鳴に、高校生の従兄弟が「どうしたー?!」と叫びながら台所へと向かって走って来てくれている足音が聞こえたのですが、その最中すぐに家の電話が鳴り、従兄弟はそっちへ向かっていきました。
私と姉はすぐに台所を後にし居間へと走って戻って行きました。
大泣きしながら姉や中学生の従兄弟に縋り付いてたのですが、電話を終えた高校生の従兄弟が顔を真っ青にして戻って来ました。
「じいちゃん…亡くなったって」
「今から親が迎えに来るから、一緒に病院行こう」
と、従兄弟に止められました。
父が語った真実とは
大人たちはすぐに迎えに来てくれて、一緒に車で祖父の入院していた病院へ向かうことに。
涙で顔が真っ赤になった私と姉を見た大人たちは「どうしたの?!」と心配していましたが、説明する気にもなりませんでした。
病院に到着し、父の顔を見た瞬間に安心してまた大泣きしてしまいました。
父に「姉と喧嘩でもしたのか?」と聞かれ、あまり深くは追求して来なかったのですが、父には本当のことを話そうと決め、こっそりと先ほど見た光景を話しました。
話をし終えると、父は私の頭を撫で、
「ああそれは、じいちゃんが最後の挨拶に来てくれたんだな」
と、笑顔で言いました。
私は「え?!」とめちゃくちゃ驚きました。
父の話によると、祖父は父が幼い頃に悪戯をしたとき、鉄鍋の蓋をガタンガタンと大きく鳴らし「次やったらこれで叩くからな」と叱って来たそうです。
あの蓋は、祖父が生前よく触っていたもので、あのとき家にいたのは子どもたちだけだったから、1番馴染みのある鉄鍋の蓋を動かしていたのではないか、と父が教えてくれました。
恐怖で泣いてしまった自分が恥ずかしくなると同時に、祖父に申し訳ない気持ちで一杯になりました。
すぐに祖父の元へ向かい、おじいちゃん怖がったりしてごめんねと小さな声で謝りました。
今から20年以上前の体験ですが、この出来事は今でも鮮明に覚えています。
私が今まで経験してきた心霊体験の中で、1番素敵な体験でした。
その鉄鍋の蓋は、父のはからいで祖父の仏壇に今も飾られています。
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