24歳 自営業 男性 おちゃんこ鍋さんの心霊体験
福島県のとある田舎町で、私は半年ほど前に、恐怖体験をしました。
その頃、私は不眠気味で、夜中にはっと目の覚めることが多くありました。
そこで私は、深夜にランニングを始めることにしました。
どうせ眠れないのなら、という開き直りですね。読書もネットサーフィンも、私にはあまり向いていませんし、走ることでストレスを発散できるのならと、そういう思いでした。
寂しい深夜の田舎町をランニング
そこは田村「町」という地域で、田舎の「町」ですから、かなり寂れていました。
極力電灯のある方を走り、発光板を携帯しました。イヤフォンも、車が危険なので差していません。そもそも車の通行もないような真夜中でしたが、それでも。
ある日私は、ふといつもと違う道を走ってみたくなりました。
仕事で残業続きの上に不眠症ですから、半ば自棄になっていたのだと思います。
常識的に考えれば、真っ暗闇の中で見知らぬ道を走ろうなんて思いませんからね。
睡眠不足で判断力が欠如していた、というのもありますし、ランニングをしている方はお分かりかもしれませんが、走ると妙に気の大きくなるところがあります。それで私は、中心街の方から離れて、田んぼ道の広がる方へと走り始めました。
初めはかなり順調でした。走ることでアドレナリンが分泌され、そこに恐怖とそれを克服しようという昂揚感、さらに私は、誰もいない道を一人駆け抜けることで、奇妙な征服心すら抱いていたように思います。今思えば相当参っていたのだな、と。
しかしその時の私はぐんぐんと速度を上げ、呼吸の乱れにも気づかないまま、一キロ、二キロと距離を伸ばしていきました。
ある坂道で・・・
やがて私は、辺りを林に囲まれた坂道に差しかかりました。
一陣の風が吹き、木々の葉がざわざわと音を立てました。
そこで私はふと我に返り、随分遠くに来てしまったということに、今更ながら気づきました。引き返そうと踵を返し、何気なく額の汗を拭うと、今までにかいたこともないような量の汗を、私はぐっしょりとかいていました。
夢中で走っていたので気づきませんでしたが、体中がねばついた汗に塗れていました。
そこで私の呼吸は突然、堰を切ったように荒々しくなり、自分が今息を吸っているのか、あるいは吐いているのか、それすらも分からないくらい乱れ始めました。
呼吸というものは普通自然に行われるものですが、今やその機能が失われ、私の胸は不自然に膨らんだりしぼんだりを繰り返しました。
早く帰ろう・・・でも
早く帰ろう、私は直感的にそう思いました。
潜在意識が危機的状況を私の脳に訴えかけていました。
しかし、先程まで弾むように動いていた私の脚が、俄かに鉛のように重たくなりました。
動くことは動くのですが、まるで後方に引力が生じているかの如く、脚を前に運ぶのに多大なる労力が必要になっているのです。
私は半ば引きずるようにして、一歩一歩、林の中を進んでいきました。
やがて開けた田んぼ道に出たところで、私の身体は急に、それこそ憑き物が落ちたみたいに、軽やかになりました。
先程の鈍重が嘘のようです。呼吸も平常通りに戻り、奇妙なことに汗も引いていました。
それから私はあくまで警戒しつつも、いつものペースを保ちながら真っ暗闇の中を帰路に着きました。
なんだったんだろう、家に到着しての第一の感想は、それでした。おそらく今までの疲れがどっと出たのだろう、思えば不眠だからと言ってランニングをするというのがそもそもの間違いなのだ、と、私はそこでようやく冷静になりました。
家に帰って気がついた足の異変
これからは黙って本でも読むか、最悪ストレッチにとどめよう。
そう考えながら私はシャワーを浴び、ぬるりとした嫌な汗を洗い流しました。
そうして浴室から出て、身体を拭いていると、私の脚全体に手形のような青い痣がびっしりついているのに気が付きました。
それ以降、私は一度もランニングをしたことはありません。
あの痣は、今なお私の脚にうっすらとではありますが残っています。
新聞配達の仕事をしている人は、毎日、不気味だなと感じる場所でも配達しなければなりません。そんな友人によると、このような霊現象を新聞配達中に経験することがあるそうです。
特に体が疲れていたり病気の時は、悪い霊を引きつけてしまいやすい状態です。夜のランニングは十分に注意したいものですね。
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