38歳 会社員 男性の恐怖体験
祖父は猫好きで、私が産まれる前からの飼い猫の黒猫がいました。
とても人懐っこく誰にもすり寄る一方で、私たち孫がまだ幼い頃には触り方が気に食わないのか、油断していると引っ掛いてくる気まぐれでもありましたが、そんなところも含めてとても愛らしい猫でした。
祖父の家で起きたある事件
祖父の家には小学生高学年の頃に3年ほど住んでいたのですがそんなある日ちょっとした事件が起きました。
祖父の飼い猫である黒猫がある獣に追いかけられ、家にその動物とともに駆け込んできた。
祖父はその獣を「つちかい」と確か呼んでいましたが、ウェブで検索しても出てきません。
狸のような丸い獣だったので、アナグマだったのかもしれませんが、いずれにせよそれなりの大きさの獣が家を駆けまわったから一騒動でした。
結局、黒猫とその獣はともに外へと走り去り、黒猫も無事帰ってきました。
つちかいを追い払った
その後、祖父は家の真裏にある小さな畑に罠をしかけました。
すると、見事にその獣が罠にかかり捉えることが出来たのです。
祖父はその獣を棒で叩き、「二度と来るなよ!」ともちろん人間の言葉で説教をし始めたので、子供ながらに効果あるのか疑問でしたが、ひどく怖い思いをしたからか、二度とその獣が姿を見せることはありませんでした。
今でも原因が分からないのですが、この獣が現れていた期間に、飼っていた金魚の水槽から水が半分くらい抜けてなくなっていました。
祖父母はこの獣のせいだろうと言っていましたが、水槽は土台の上の少し高いところに設置していたましたし、横幅60センチの水槽でしたので、それほどの大量の水をあの獣が飲めるのかと、今だに疑問には思っていますが、それ以外の原因も思いつきません。
黒猫との別れ
それから1年ほどしたある日、祖父の家から出ると向かいの家の塀の上で黒猫が座っていました。
いつもは素通りしていたのに、何となく黒猫を連れて帰らなきゃと思い、黒猫を抱いて祖父の家に連れて帰りました。
それから黒猫はみるみると弱り二度と外に出れなくなりました。
15年以上生きていたようなので、ついにお別れの時が来たのです。
黒猫は玄関の片隅の箱の中で寝かされていたのだけど、祖母が早朝に新聞を確認しに行った際に、ひと声「にゃぁ」と鳴いたそうです。
結局、それが黒猫の最後の声となりました。
黒猫は、獣が罠にかかった畑の隅に埋葬されました。
私も黒猫にとても愛着があった事もあり、今考えるとよくないことですが、思い出にと、黒猫の毛を少し抜いて持ち帰りました。
猫が亡くなった後に見た夢
それから何日がたったある日、夢を見ました。
亡くなった黒猫の夢です。
夢の中で、黒猫は何故かボロボロな姿になって弱っていました。
足つきもおぼつかなく、フラフラと近寄ってくる。
夢の中とはいえ、大好きな黒猫と再会出来て嬉しい一方、何とも言えない違和感を感じていました。
そうしていると、祖父が念仏を突然唱え始めました。
すると、黒猫が苦しみ悶えのたうちまわりはじめました。
何が起こっているのか頭が混乱していると、黒猫がみるみると姿を変え、いつしかのつちかいの獣の姿に変化して、散々苦しみもだえた後に息を絶やしました。
目が覚めて
冷や汗の中、目が覚めた。
後から、祖母にその話をすると私が夢を見たのは黒猫が亡くなってから四十九日だとのことでした。
黒猫との夢での再会は少し嬉しくもあったのですが、ただ、悪霊のような登場だったので、とても気持ち悪く、手元にあった黒猫の毛も何だか不気味となり捨てました。
何とも不思議な幼少期の体験でした。
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