45歳 事務職 女性 NeoGさん 北海道函館市で本当にあった怖い話
かなり前になるんですが、友達から聞いた心霊系の実話です。
幽霊は出てこないけれど、一応怖い話ではある…と思います。
怖いと言うより不思議な話に近いかもしれません。
場所は北海道の西端、私の生まれ故郷での話です。
元気のない友人
当時中学生だった自分は、近所の幼なじみ達と四人で通学していました。
この話を聞かせてくれた友人は中学校から一番近くに住んでいたため、最後に落ち合って登校するのがいつものパターン。
その日の朝も三人がまず落ち合い、最後の友人宅へ向かいました。
あーでもない、こーでもないと下らない話をしながら友人宅のチャイムを鳴らします。
いつもの通り、すぐに友人が身支度を整え出てきました。
が、その表情はいつもとは違い、なんとなく元気がありません。
元気のない、その理由は…
おはよー、おはよー。と挨拶を交わし、
「なんかあったん?」
こんな感じで何気なく一人が話を振ると、
「いや…昨日さ、変なことがあったんだよね…」と言います。
なになに?と興味津々の三人。
「昨日、家に帰って…夕飯時だったかな…、まだ明るい時間帯だったんだけど。どこかで、ものすごい大声でずーっと何か叫んでる人がいてさ」
「うわ近所迷惑じゃん!」
ここまでは三人とも、笑い話かな?というノリでした。
友人は続けます。
「でもどこから聞こえてくるかもよく分かんなくて、それでもすごい大声だから近所の人たちがゾロゾロ出てきて。みんなで何だろう?どこで誰がこんな大声あげてるんだろ?ってキョロキョロしてたんだよね」
大声の内容
「そしたらだいぶ経ってから、近所のおじさんが“橋の下から聞こえないか?”って言い出して。橋の上には誰もいないしさ」
こんなに天気の良い朝っぱらから、まさかの怖い話!?って三人ともこの辺りで黙ってしまいました。
件の橋は友人宅から歩いて2分くらい。
友人の家からも、なんなら今自分達がいる道路からも丸見えです。
もちろん誰かが大声を出していたなら、すぐ目に付くはずです。
「そのうち橋の下でこんな大声で何言ってるんだろってなって、皆で黙ってよく聞いてみたら“これ…お経じゃないか?”って意見が全員一致して」
ここら辺でちょっとゾッとしました。
橋の下には
「で、おじさんの一人が土手に降りて、橋の下を見に行ったんだよね」
橋の下にはさほど大きくはないけれど一級河川が流れてて、そこの土手へは少し急な斜面を降りれば簡単に着くことができます。
四人とも土手へ続く斜面をチラチラ横目で見つつも歩きながら、話の続きを待っていました。
「そしたら途端に大声がピタッと止んで。で、おじさんも“誰もいないわー”って戻ってきてさ。結局、誰もいないし静かになったし、何だか変だねなんて言って解散しようとしたんだ」
話を聞いていた三人も、やっと「気味が悪い話だね」「怖いー」なんて口々に言っていたんですが…、
「でもさ、解散しようとしたとき近くにいたおばさんが“あっ!”って叫んでさ」
お経を叫んでいた人?
「“そういえば、去年の今くらいじゃない?あの橋の下で○○さんが首吊って自殺したの”って言い出してね…」
一気に肝が冷えました。
確かに去年の秋ごろ、その橋で自殺者が出たって大騒ぎになってたんです。
亡くなったのは中年の男性で、その方も橋の近くに住んでいました。
今となってはうろ覚えなのですが、確か病気を苦にして…とかそういった理由からだったと思います。
知らない方とはいえ身近に起きた事件だったので、直後は学校でも噂になったので覚えていました。
「もしかしたら成仏してないんじゃないのかな、って近所のみんなも暗い気持ちになっちゃってさ…」
毎日の登下校で使う、その橋。
おっかなびっくりで暫くは登下校してましたが、そのうちすっかり慣れてしまい、こんな事があったなんて忘れていたのですが…。
大人になってふと思い出して考えると、怖い話と一言で片付けるには悲しい話だな、と感じます。
その後の顛末
そしてその後は特に何も起きず、不思議な出来事はこれっきりだったようです。
それに、本当にその自殺した男性に関係しているのか、または全くの別な何かだったのかは未だに不明ではあるのですけれど。
ご近所中が騒然となり大勢で体験した…という心霊話は、当時中学生だった自分達にはかなり衝撃でした。
ちなみにお経は本当にかなり大声だったらしく、男性だったのか女性だったのかは分からなかったのだそうです。