31歳 自営業 男性 多美原 悠さんの恐怖体験
あれは私が京都の大学に通うために、京都府南丹市という町で一人暮らしを始めて、およそ2年が経った頃の話です。
大学に通い始めて出来た友達の一人に、私と同じく一人暮らしを始めたA君という友達がいました。
A君は、次の日が授業の日でも誰かの家に泊まりに行くような性格でした。
もちろん私の家にもよく遊びに来ては夜中まで遊んで、そのまま泊まっていくというのが日常にでした。
「A君はほんとに遊び人だよなー!」なんて皆でからかったりして笑い合い、毎日楽しく過ごしていました。
空き地で感じた気配
しかし、それは唐突に私に訪れました。
A君の住んでいるアパートの隣には腰ほどにまで雑草が伸び切った大きな空き地があります。
その日私は夕暮れ時、学校が終わって買い物を済ませ帰路についていました。
ちょうどその空き地の前を通りかかった時、私はふと空き地に目をやりました。
その時、強烈な違和感に襲われたのを覚えています。
空き地の真ん中らへんの草が、風も無いのにこちらの方に倒れてきたのです。
まるで、見えない何かが少しずつ私の方に向かって来ているような倒れ方でした。
田舎なので、猫か犬が空き地の中をこちらに向かって歩いているのだろうと、その様子を後退りしながら見ていました。
しかし、空き地の端までの草が倒れ切った時、私は恐怖しました。
そこには猫や犬などおらず、空き地の真ん中から私の方向までまっすぐ草が倒れていただけだったのです。
本当に見えない「何か」がそこを通ったのだと感じました。
私は恐怖のあまり急いで家に帰り、きっと風でそうなったんだろうと思い込み、忘れることにしました。
それから、私は帰り道をその空き地を避けるルートに変え、少しずつ忘れていったのです。
A君が泊まりにくる理由
しかしある日、A君が一人で私の家に泊まりに来ている時に、そのことを思い出してしまったのです。
少し時間も経っていたので、恐怖もだいぶ薄れていた私は、A君を怖がらようと、その話を聞かせてやろうと思いました。
「A君あのさ。A君の住んでるアパートの横の空き地あるやん。」
そこまで言うと、明らかにA君の顔は青ざめていたのです。
「もしかして、見た?」
いつも元気なA君とは思えない静かで怯えた声でした。
「いや。見たってわけじゃないんやけど、なんか草がこっちに向かって倒れてきてさ。」
「あそこの空き地な、子供がおんねん。たくさん。」
それを聞いた私はゾッとしました。
やっぱりあの空き地には何かが居たんだと。
「夜中になると、空き地の方から子供の声が聞こえるねん。それも一人じゃなく、結構たくさん居るっぽい。それに最近になって、台所(空き地と逆の方向)からも聞こえるようになってな。たぶん入ってきてるっぽい。」
どうもそれが、いつもA君が誰かの家に泊まりに行く理由だったらしいです。
霊かどうか分からないが・・・
その後、私はその話を誰もせずに学校を卒業しました。
幸いA君も何事もなく卒業出来たので安心しました。
結局本当に、あの空き地に子供達の霊が住み憑いていたのかどうかは、はっきりわかりません。
しかし今になって思えば、田舎とはいえ何故住宅街に放置されたままの大きな空き地があったのか不思議で違和感があります。
もしかすると何か家を建てたり出来ない理由があったのかもしれません。
これが私が学生の頃にした実話です。
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思わずゾワっと背中に悪寒が走りました。その後、何事もなく良かったですね。見えないのに動きだけわかる、声だけ聞こえるって、自分ならきっと固まって動けない、、。
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