24歳 フリーライタ 男性の心霊体験
大学生の時、恐怖体験というか、不思議な体験をしました。
サークルのイベントで、旅行に行きました。千葉県の某所です。
海水浴と安い旅館での出来事
確か、八月だったと思います。かなり暑かったですし、蝉の声もうんざりするくらい聞こえていましたから。
私たちは、昼間は海水浴を楽しんだり、バーベキューをしたりして存分にはしゃぎました。
そして、海岸の近くにある、寂れてはいるものの雰囲気のある旅館に泊まりました。
安かったですし、観光シーズンにも関わらず、大所帯を受け入れてくれたというのもあります。
それに何より、サークルの総意として「ホテルよりも旅館がいい、それも古めかしい、かつ堅苦しさのない旅館がいい」というのがあったのです。
純和風で古い旅館だった
夕方頃に、私たちはその旅館にチェックインしました。事前に調べた通り、純和風で、古めかしさを漂わせており、どこか親密な雰囲気がありました。神秘的ですらありました。
「心霊が出るんじゃないか」と、友人の一人がおどけていました。
確かにそれもなくはないな、と思わせるものはあります。
部屋は四人部屋でした。夕飯を食べ、お酒を呑んだ私たちは、その日は疲れていたので、布団に入ってすぐに、泥のように眠りました。そこで、夢を見ました。
夜、見た夢とは
線路のそばに、女の人が寝ていました。正確には、線路の車輪が通る部分に、ちょうど首が当たる形で、女の人が横たわっていました。髪の長い女性です。こちらを見ていました。
周りは、西部劇に出るような荒野で、人の気配もないし、建物もありません。生ぬるい風が、時折吹いているくらいです。すると、遠くからごおおおおおおおお、と轟音が聞こえてきました。
すぐに私は、それが電車の音だと気づきました。それで私は、焦りました。このままでは、女の人が轢かれてしまうから。
しかし、私は身動きがとれないどころか、声も出せませんでした。女の人は、眼を見開いてこちらを見つめたまま、動きません。やがて、電車が近づいてきました。そして、女の人を……
起きてみてからも恐怖は続く
そこで、目が覚めました。私は勢いで上体を起こしました。すると、目の前に、微かに開いた襖が飛び込んできました。閉めたはずなのに。そう思いながら視線を落とすと、そこに、夢で見た女の人の顔がありました。
僕は思わず絶叫しました。そこで、奇妙なことに、僕は「目を覚ましました」。
周りを見ると、僕の叫び声に反応したらしい友人たちが、眠そうに目を擦りながら身体を起こしていました。「なんだなんだ」という具合に。
結局は何だったのか
今でも、あれが夢だったのか、現実だったのか、分かりません。
後から調べたのですが、その旅館にはいわゆる「いわくつき」の部屋は一つもありませんでしたし、心霊が出るとか、
誰かが死んだとか、そういう物騒な噂もありませんでした(そもそもそういう噂があれば、サークルの宿泊先に選ぶはずがありません)。
ただ一つ気になるのは、襖に隠れた女の人の首から下は、果たしてちゃんとあったのかどうか、ということです。そのことを思い起こす度に、僕はひどい悪寒に襲われます。
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