24歳 フリーター 女性 Kikkaさん 群馬県で本当にあった心霊の怖い話
これは大学生時代に山岳サークルに所属していた友だちが、登山中に体験した実話です。
その友だちとは、けっこう長い付き合いなのですが、彼には霊感があり、私たちと一緒にいるときでも心霊らしきものが見えたことがあるそうです。
怖い話ですがどこかほっこりする不思議なお話でもあり、今でもよく覚えています。
登山時間が予定より遅れていき……
友だちはサークルで知り合った二人、キャプテン格の先輩と後輩の新人の女の子と三人で登山に挑んでいました。
挑むといっても登山経験の浅い新人の女の子もいたので、ルートのレベルもそれほど高くなく普通だったようです。
しかし、途中で女の子が言うのです。「ごめんなさい、ちょっと足がきつい」と。これには先輩と友だち男二人は反省したそうです。
というのも、山に慣れた男にとってはそれほどきつくない道でも、山道は山道。さらに登山では普段は背負わない重さのリュックが体に負担をかけます。それにも関わらず、自分たちの歩幅で進んでしまったために女の子に無理をさせてしまっていたのではないかと思ったのです。
そこで引き返すことも考えられましたが、女の子は大丈夫だと言うので、そのまま進んでしまいました。
それが良くなかったのでしょうか。彼らは、女の子の歩幅に合わせてゆっくりと歩みを進めていき、予定時間からは遅れていきました。
目標の山頂まであと少しというところで、先輩が言いました。
「引き返そう、このままでは帰りのバスに間に合わないかもしれない。」
目標にたどり着く前に引き返すのは残念でしたが、先輩の言う通りでした。
登山口の入り口付近にはバスが出ており、バスの最終時刻に間に合わなければ帰れなくなってしまいます。
最終バスを逃し……
少しの不安と焦りからか、帰りは言葉少なに降りていきました。
女の子も必死に歩くのですが足取りは重く、やはり時間はどんどん差し迫っていきました。
そして、ようやくふもとにたどり着いたころには、バスの終電時間はわずかに過ぎていたのだそうです。責任を感じたのか女の子は泣き始めてしまい、それをなんとかなだめつつ、友だちと先輩は考えました。
近くに山小屋があるので、そこにだれかいるかもしれないと。
山小屋の中で……
三人は不安を感じながら山小屋に入りましたが、中に人気はなかったそうです。
「すいません。どなたかいらっしゃいませんか。」先輩と友だちは大声を張り上げました。
その時でした。
「はい」という女性の声が聞こえたのだそうです。
山小屋の入り口には受付のカウンターのような場所があり、その向こうにトランシーバーが見えました。
その付近からのものに聞こえ、人がいたと一安心した友だちはそのトランシーバーに近づきながら声をかけました。
「僕たちはバスに乗り遅れてしまったのですが、他の交通手段はありませんか。」またもトランシーバー付近から声が聞こえました。
「ありますよ。大丈夫です、バスが出ています。」その瞬間、トランシーバーをよく見た友だちははっとしました。
トランシーバーからの声の主は……
トランシーバーはどのように音が鳴りますか?そのトランシーバーには、電源がついていませんでした。
じゃあこの声は?
さっと血の気の引いた友だちは先輩と目を見合わせましたが、先輩にはその声は聞こえていないようでした。
先輩は不思議な顔をして友だちを見つめ、三人が呆然としていた時、山小屋の主人の男性が入ってきたんだそうです。
「おい、どうしたんだ。」
最終バスに乗り遅れてしまったことを話すと、主人は快く駅まで送ってくれると言い、三人は無事に帰ることができました。
バスの中で、友だちは主人に聞いたそうです。
「山小屋は主人おひとりで管理されているんですか?」主人はうなずきました。友だちはその時は焦りで気づきませんでしたが、声にはトランシーバー特有の雑音がまったくなく、トランシーバーから聞こえたとは思えないほどはっきりした澄んだ声だったことを後から思い返したそうです。
しかし、良い返事をしてくれたことを考えると、悪い心霊ではなかったのでしょうか。今でもその澄んだ声は、はっきりと思い出せるそうです。
コメント