26歳 飲食店従業員 女性
これは私の妹が実際に体験した実話です。
私の妹は現在、子供たちが放課後に集まる児童会館と言う場所で働いています。
彼女の仕事は、子供たちが体育館や外で遊ぶ時の安全確保やレクリエーションの企画、そして会館の管理など全般。
人の集まる場所は心霊も集まる、なんてよく聞く話ですが児童会館も例外ではなく、怖い話が後を絶たないのだとか。
妹は働くまで知らなかったようなのですが、彼女の働く会館の職員は、誰もが一度は心霊体験をするのだそうです。
ただ、妹はこれまでの人生一度も心霊体験をしたことがないので、いくら怖い話を聞いても「私は絶対大丈夫だわ」なんて強気でいました。
しかし、彼女はそれから数ヶ月後、実際に心霊を見てしまうことになります。
児童会館の体育館
児童会館には、学校と同じように小さいながら体育館があります。
そこで放課後、集まった子供達はバスケットや鬼ごっこなんかをして遊ぶのですが…。
妹は働き始めて数ヶ月経った頃、体育館で遊ぶ子供達を見張る役割を頻繁に任されるようになりました。
ここの児童会館はなかなか古く、体育館の設備も少々老朽化しているので、子供たちが怪我をしないよう常に妹は目を光らせておく必要がありました。
この体育館で心霊体験をした、という職員もいたらしいのですが、妹は全くと言っていいほどそういった類を信じていません。
余裕綽々で毎日、体育館の見張りと閉館時の見回りをしていました。
そんなある日、事件が起きます。
その日もいつも通り、妹は体育館の見張りをしていました。
学校行事の影響でこの時は小学校低学年の子供が多く、全体で15人ほどが遊んでいたそうです。
すると、突然その中の1人の女の子がワーっと声を上げて泣き始めたのです。
妹はずっと全体を見ていたので、その子が転んだり怪我をしたわけではなく、本当に突発的に泣き始めたのを知っていました。
慌てて近寄り、声をかけます。
「どうしたの?どこか痛いのかな?」
しかしその女の子は泣き止むことはなく、妹はすぐに他の職員を呼び、自分は女の子を連れて静かなスペースに移動。
その子が落ち着いて話ができるようになるのを待ちました。
女の子が泣き出した理由
15分ほどかけてようやく落ち着いた女の子。
妹は、優しく声をかけて、泣いてしまった理由を聞き出します。
すると、当初口を結んで首を横に振るだけだった女の子はようやく話し始めてくれました。
その子は当初、体育館でみんなと鬼ごっこをしていました。
しかし、途中疲れてきたので一旦その中から抜けて少し離れた場所で休憩しつつ、鬼ごっこを眺めていたようです。
すると女の子いわく「壁から女の子が出てきたの」…。
そして、「反対の壁まで走ってって、壁の中に入ってった」のだそうです。
妹はその話を聞いた瞬間、鳥肌が立ちましたが、今は女の子を元気付けなければと思いました。
そして、きっと夢を見たんだよ、疲れてる時は明るい時でも夢を見ることがあるんだよ、などと白昼夢の説明をしてなんとかごまかしたのでした。
かなりゾッとしたそうですが、「小さい子供の言うことだ、きっと見間違いだ」と自分を納得させたそうです。
そしてついに、妹も…
女の子が泣き出した事件から数日後。
その日も妹は体育館で子供たちが遊ぶのを見ていました。
この時はまだ15時頃の早い時間で、遊んでいる子たちは7〜8人。
みんなで鬼ごっこを始めたそうです。
すると、数分後、妹は信じられないものを目にします。
妹は体育館の出入り口側に立って子供たちを見ていたのですが、正面にステージがあります。
そのステージ向かって左側の壁から、女の子が突然ヌルッとでてきたのだそうです。
声も出せずにその光景を見ていると、そのままその女の子は体育館で鬼ごっこをする子供達をすり抜け、反対側の壁の中に入って行きました。
遊んでいるのは7〜8人と少ない人数、見間違えるはずはありません。
「この前泣いた子が見たのは、アレだ」
妹はさすがに恐ろしくなり、体育館で遊んでいた子供達に「外が涼しくなってきたから庭で遊ぼう」と声をかけて、全員を外に出しました。
そして他の職員を呼んで、今見たものを青ざめながらも話したそうです。
妹が見たものの正体は
妹が今見たものの話をすると、職員の中には数名、同じ体験をした人がいました。
そして数日前に泣いた女の子以外にも、「アレ」を見た子供は過去に何人もいたのだとか。
「アレ」は特に何をするわけでもなく、ただ、壁から出てきて反対側の壁に走って消えていく。
古い話だと10年以上前に勤めていた職員の中にも、その体験をした人がいるといいます。
しかしこの児童会館の体育館で子供が亡くなったとか、事故があったという記録はありません。
「アレ」は一体なんなのか、誰にもわからないそうです。
しかし、児童会館に集まる子供たちに引き寄せられて、この体育館に来てしまった「何か」なのだろう、というのが満場一致の意見。
特に悪いことをするわけでもないようなので、見た人にとっては恐怖ですが、特にお祓いなどは考えていないそうです。
ただ今でも、「知らない女の子が走ってきた」とか「壁に女の子が消えた」とかいい出す子供はたまにいるみたいです。
これが、妹が現在進行形で働いている児童会館で体験した実話でした。
今日も「アレ」は、体育館の中を走り回っているのかもしれません。
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臨場感があって怖かった。
文章からリアルな想像ができ、女の子が壁からぬるっと出てくる様子をイメージしたらゾッとした。
正直、あまり怖くありませんでした。事件が起きたのが昼間であったり、具体的な被害が何もなかったからです。突然泣き出した女の子が話し始めた時点では少しの恐怖と期待を感じたのですが、その続きを読んでみると拍子抜けでした。
実際にそういった体験をしたら確かにぞっとしますね。
でも何もしてこないのが唯一読んでて救われたかもです。
人が集まる場所はむしろ安心できる気がしていたけど、逆に集まると言われているんですね。そこに関してはゾッとしました。
正直、あまり怖くありませんでした。昼に起きた出来事であったり、特に被害もなくただ壁から壁へ子供が移動していっただけなためです。突然泣き出した女の子が話し始めた時点では少しの恐怖と期待を感じたのですが、その続きを読んでみるとちょっと拍子抜けでした。
子どもはよく「アレ」を見ると言われているので本当に見えていたのかもしれませんね。
私の身内にも小さい子どもがいますが、一定の方向だけを見て、指差ししながら泣いてしまうことがあります。
私達大人には何も見えませんが、「アレ」を見ていたのかもしれませんね。
壁から出てきて壁に向かって走っていく・・・下手したら「アレ」も子ども立ちに気付いていないかもしれないですね。
いずれにせよ怖い話です。
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