この記事を書いているのは2022年なので、東日本大震災から約11年が経過しました。
私は当時、東京の麹町で働いていましたがひどい揺れで、それこそ死を意識した瞬間でした。
しかし、まさにその時間、東北を中心に強い津波が発生。多くの人の命が失われたくさんの悲劇話が新聞やテレビで報じられたのを覚えています。
そんな最中、大手の新聞には「津波の死者の幽霊」の怖い話がしょちゅう掲載されていました。私も怖いもの見たさでよく調べていたのですが、創作の幽霊話ではなく、あの朝日新聞や産経新聞など全国的な新聞が堂々と報じていた正真正銘の恐怖体験だと思います。
そんな東日本大震災の幽霊の怖い話をこの10年間、少しづつ調べていたのですが、そろそろ私が調べていた話からいくつかをご紹介しても良い頃かなと思い、まとめとして書きたいと思います。(実話の怖い話をまとめていますが、多少、場所や状況を変えてあります。)
とつぜん動くオモチャの自動車
当時、A子さんは、仙台市近郊の町で優しい旦那さんと4歳になる男の子B君と暮らしていました。
旦那さんは仙台の会社でサラリーマンをしており、A子さんは近々パートをはじめたいと思っていたものの、まもなく幼稚園に登園する我が子の面倒のため専業主婦をしていました。
新しい生活のために新築した戸建て住宅。将来に何の曇りもなく明るい未来を予感させる温かい家庭。
そんな日々の暮らしの中でA子さんは幸せをかみしめていたそうです。
そんな旦那さんとA子さんに育てられすくすくと育つB君。
もっぱらのお気に入りは赤い消防車です。
鮮やかな赤い色は小さな男の子の好奇心を誘うのでしょう。電池を入れて走らせるとウーウーと鳴る仕組みの消防車で毎日遊んでいたそうです。
そんな平和な日々が突然奪われたのが、2011年3月11日の午後。
いつもの通り、A子さんの昼食が終わり車で買い物に出かけることにしました。週末はお出かけの予定。日用品を買い出すためです。
B君を後部座席に乗せて、ドライブ。
そして、2時46分は買い物をしている最中にショッピングモールで襲われました。
ショッピングモールはすぐに営業を中止し、A子さんも車で自宅に戻ることにしましたが、途中の国道で津波に襲われたそうです。
突然、国道に水が流れ込み、みるみるうちに水かさが増して車が浮かんだ状態になりました。
そして足下やドアの隙間から水が流れ込み、後部座席に水が溜まりはじめました。その後部座席に乗っていたのはB君でした。
A子さんはかろうじて車の天井に空いた空洞で息をすることが出来き、夜までに水が引いたところで救出されましたが、B君は残念ながら助かることは出来ませんでした。
そんな悲しい出来事があってからA子さんは、自宅で塞ぎ込むことが多くなったそうです。
旦那さんはしばらくして仕事を再開しましたが、A子さんは働く気力もなく、自宅でボーッとB君が使っていたオモチャを眺めるだけです。
1年くらい経った頃でしょうか?
夕方、A子さんが子供のオモチャを見ながら感慨にふけっていると、突然、オモチャの消防車がウーッとサイレンを鳴らし始めたそうです。
スイッチをつけていなければ鳴るはずのないオモチャ。
なんだか「ボクはここにいるから悲しまないでね」と言っているようでした。
被災地で人格が変わる人々
この話は個別の話というよりは、東日本大震災の津波の被災地で頻発した出来事なので、ストーリー立ててお話しはせず、まとめてご紹介します。
津波の死者が幽霊となって被災地に現れる話はたくさんありますが、怖い話が集中するのは津波が発生した直後から半年後くらいまでの間に集中しています。
東日本大震災の津波の場合、沿岸部だけでなく、少し内陸部分まで到達したために、突然、津波に襲われ何が起こったのか分からないまま死んでしまった人が多くいるのです。
そのためか、死を理解出来ていない膨大な人数の霊が町を浮遊していたそうで、被災地の様子を見にいった人が取り憑かれるという事件が多発しました。
例えば、30人もの霊に憑依されてしまった看護師の女性の話。
彼女は看護師として働いていたそうですが、震災後、体に得たいのしれない霊が次々に入り込んで、仕事を続けられなくなったそう。
お寺に運び込まれて除霊をしたそうですが、やくざ風の男性や女の子など人格が立ち替わり入れ替わってたくさんの幽霊が現れたそうです。
また、被災地を見にいった男性が自宅に帰ると突然、凶暴になり怒鳴り散らしたとか。除霊をすると津波で亡くなった男の霊が憑依していたそうです。
このような話は書籍になるくらいたくさん報告されています。
2万人以上が命を奪われた3.11だからこそ、このような憑依事件が多発したのではないでしょうか。
あの世を生きている人々
昔、タクシーが幽霊を乗せてしまい、振り返ると誰もおらず座席がぬれていた・・・。なんていう怖い話話を耳にすることが多かったですが、まったくそれと同じ体験をした人もいるそうです。
石巻駅の前で客待ちをしていたタクシー運転手。
初夏の暑い深夜。石巻駅の前でいつものように客待ちをしていると、厚手のコートに身を包んだ女性が車に乗ってきたそうです。
行き先を聞くと「南浜まで」。
南浜とは南浜町のことで、震災当時、約7メートルの津波が押し寄せ壊滅的な被害を受けた地域です。
死者は200人以上。石巻市内で2番目に大きな被災地です。
もちろん、そんな所に深夜タクシーで向かう人などいません。
タクシー運転手が怪訝な声で「あそこはもう更地で何もありませんよ?」と聞くと、その女性は突然震える声で・・・「私はもう死んだのでしょうか?」と聞いてきたそうです。
もちろん、後ろを振り返ると誰もいない・・・。そんな話が新聞に掲載されていたものです。
ちなみに、この石巻市内は比較的に幽霊話が多く、迷子になったとタクシーに乗せた女の子に「自宅がある」と指定された場所まで乗せていったら津波で更地になった場所で、女の子も消えていた・・・。玄関のチャイムが鳴るのでドアを開けると、「体が濡れているのでタオルを貸してください」という声が聞こえたという話など、たくさんの話が伝わっています。
やはり震災後はしばらくの間、死を理解し切れていない人々がたくさん町の中を歩いていたのでしょうか。
私はこれらの話をなぜか怖い話というよりは悲しい話として読んでいました。
今ではすっかり津波の痕跡も減ってきてしまいましたが、今でもどこかに成仏仕切れない霊はいるのでしょうか。