山での怪奇現象!あそこには何かが棲んでいる

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66歳 年金 男性 redfreesiaさん 神奈川県相模原市で本当にあった怖い話

これは、2年前に私が家内の実家で実際に体験した、今でも思い出す度に背筋が寒くなり、何とも言えない恐怖感に苛まれてしまう、不気味で不可解な出来事についての実話の怖い話です。

家内の実家は陣馬山の麓の山間部

家内の実家は、神奈川県相模原市――東京都との県境にある陣馬山の麓で、中央本線の藤野駅から北側の山中に車で20分、徒歩だと1時間半はど登ったところにあります。

家内とは勤めていた会社で知り合い、数年付き合って結婚しました。私は生まれが新宿で、父親の仕事の関係から横浜や大阪と、主に都会で生活をしてきました。

そのためか、自然に囲まれた田舎というものには少なからずの憧れを抱いていて、家内の実家は、正に、私の憧れを満足させてくれる絶好の場所だったのです。

実家の周囲は何かがおかしい

家内の父親は5年前に亡くなり、実家には、今は年老いた母親が一人で暮らしています。あることが起こる前までは、犬を一匹飼っていましたが……。

実家は大変に寂しい所なので、家内の姉夫婦と交代で、2週間に1回は母親の様子を見るために、家内と二人で実家に行きます。

実家は山の中の一軒家で、さらにもう少し登った所に1軒だけ人家が建っています。家の直ぐ下には渓流が流れていて、それとは反対側の山側は、もう最近では収穫はしていませんが、斜面を利用した茶畑になっています。

茶畑の上には、かなり古そうな朽ち掛けた祠があります。その中には由緒不明の木彫りの仏像らしきものが数体納められているのを、以前見せてもらったことがあります。何となく小さなミイラのようにも見えました。

周囲の山々には高く伸びた杉が密生していて、そんな所を渓流に沿って登って行くと、少し開けた場所があって、近隣の人達からは『山の神様』と呼ばれています。

ここは昔、外人男性が全裸で死んでいた事件のあった現場だと、家内から聞かされています。こんな藤野の山奥なのに、それも外人が死んでいるなんて、何とも奇異な感じのする場所です……。

実家周辺に伝わる埋蔵金伝説と息子に起きた怖い話

家内の家は、元々は相模湖の周辺に勢力を持っていた豪族の末裔で、その豪族が勢力争いに破れてこの藤野の山中に落ち延び、生活圏を築いたと伝わっているそうです。また、落ち延びた際に持ち込んだ軍資金が、埋蔵金として埋められているとも言い伝えられているそうです。

家内の父親は生前、実家の周囲をそこそこ掘り起こしたらしいのですが、埋蔵金は出てはきませんでした。その代わり、掘った穴の一つから、人骨が出てきたことがあったそうです。元々実家の傍には昔、お寺があったといことです。そうした背景を引き摺るような奇妙な出来事が、何年か前にありました。

私と家内の間には息子が三人います。夏休みに泊まりで家族全員で実家を訪れた時のことです。私の家族は実家の広間で寝ていました。

夜中に長男は目を覚ましたらしいのですが、布団に入ったまま目を開けると、枕元に白い着物を着た人が立っていて、顔だけ下に向け、長い髪の毛を垂らして、上から長男を見下ろしていたそうです。

長男は怖くて、そのままずっと目を閉じていたと言っていました。私は長男が夢でも見て寝惚けたんじゃないかとずっと思っていました。それ以来、長男は実家には行きたがりません。

実家の近くの「山の神様」と呼ばれている場所

残念ながら私には全く霊感もなければ、心霊だとか心霊だとかにも生まれてこの方縁がありません。もしこの世に、心霊だとか心霊だとかが本当に存在するなら、一度でいいから見てみたいものだと、『あれ』を見てしまうまでは思っていました。

それは2年ほど前になります。やはり家内と二人で藤野の実家に泊まった時のことです。実家で飼っている犬は私に大変慣れていて、実家に行くと必ずこの犬を連れて山の神様まで散歩に行くのが、実家での私の楽しみの一つです。

犬の名前はラッキー。雄のビーグルです。ラッキーも散歩のことは分かっていて、よくラッキーの方からも散歩に行こうと、私にモーションを掛けてきます。その日も、何時ものようにラッキーを連れて山の神様まで散歩に出掛けました。ラッキーも私の後に付いてトボトボ渓流沿いの山道を登ってきます。

川の上流に向かって右側は細い山道が続いていて、川の左側は杉の生えている鬱蒼とした斜面になっています。

山の神様に着くと、脇を流れている川の上流の方で「キィーキィー」と猿の激しい鳴き声が聞こえてきました。この辺では猿は普通に見掛けます。それくらいここは山深い所なのです。

泣き声のする上流の方を見ると、何か黒っぽいものが動いているのが見えます。傍でラッキーも私と同じ方向をじっと見詰めながら、低い声で威嚇するように唸っていました。

その場所までは少し距離があったので、黒くて何か大きなものが、こちらに背を向けて動いている感じしか分かりません。熊にしては大き過ぎるし、この辺では熊を見たという話しは聞きません。

ちょっと怖かったのですが、その黒いものが一体何なのか、識別出来る距離まで少しずつ近づきました。何時もなら直ぐに付いて来るラッキーが、この時は唸ったままで付いて来ません。

それでも私が距離を詰めて行くと、「キィーッ」という悲鳴のような猿の鳴き声がしたかと思うと、いきなりラッキーがけたたましく吠えながら黒い物に向かって行きます。止めようとしましたが、私の手をすり抜けて行ってしまいました。

私もラッキーを追い掛けましたが、とても全力で走る犬には敵いません。その時です。その黒い物がこちらを振り向いたように見えました。ラッキーを追い掛けて、私もその黒い物の形がハッキリと分かる距離まで近付いていました。振り向いた黒い物の口らしいところには、手足をだらりとさせてぐったりした猿が銜えられていました。

ラッキーが向かって行くと、その黒いものは、川の左側の斜面の杉の木の鬱蒼とした中に吸い込まれるように消えてしまいました。ラッキーもそれを追い掛けて見えなくなってしまいました。

しかし不思議なことに、ラッキーが見えなくなると同時に、ラッキーの泣き声もパッタリと聞こえなくなったのです。山の中では犬の鳴き声はよく響いて、かなり遠くまで聞こえる筈なのに!?

実家の山には生き物じゃない何かが棲んでいる

私は怖くてそれ以上先には進めませんでした。確かに振り向いたあれは熊なんかじゃありませんでした。何か形がぼんやりしていて、目も無ければ、ハッキリと手足と言える部分もなかったように思います。

ラッキーは戻ってきませんでしたが、怖くてたまらなかった私は、ラッキーを置いて実家に戻ってしまいました。

家内と、義理の母親にこの話しをすると、家内は熊だと言います。見たことはないけど、いない訳ではないと言うのです。

母親に山の神様の由来を聞いたのですが、近隣でそれを知っている者はいないそうです。ただ、昔からそう呼ばれているそうです。

日が暮れてからラッキーが戻ってきました。怪我をしていないか、家内がラッキーの体を調べていました。特に異常はなかったのですが、元気が無く、そのまま自分の寝床に入ってしまいました。

翌日私と家内は、自分達の家に帰りました。その二日後に、実家の母親から、ラッキーが死んだと連絡がありました。

あの黒いものは一体何だったのだろうか? 家内は今でも熊たと言いますが、あれは絶対に熊などの獣なんかではありませんでした! あの山には生き物以外の何かが棲んでいます。

山には霊が集まるといわれており、今回もそのケースだったのかもしれません。
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