辰子姫伝説が残る田沢湖近く!心霊スポットの神社で出会った兄弟

30歳 自営業 男性 Mr.Kさん 秋田県仙北市で本当にあった怖い話

これは子供の頃の夏休みに、父方の祖父母の家へ遊びに行ったときに体験した実話です。

祖父母の家は、日本一深い湖「田沢湖」がある、秋田県仙北市にありました。

よく祖父母に遊びに連れて行ってもらっていたこともあり、田沢湖は私にとって馴染みある場所なのですが……。

その湖底の深さや、結果的に美しい母娘が人としての生涯を終えてしまう「辰子姫伝説」があるからでしょうか。

ネットでは「心霊スポット」のひとつとして紹介されていたりします。

当時はネットもあまり普及していなかったこともあり、子供の私はそんなことなど知らず自然の中で遊び回っていました。

祖母が聞いた噂

昼間のうちは毎日虫を捕まえたり、変な形の木を見つけては絵に描いていたりしていたのですが……。

帰省して数日した夕食時だったでしょうか。祖母がふと

「道路沿いの神社には行ってないだろうね?」

ということを聞いてきました。

道路というのは祖父母の家から田沢湖まで繋がる山道ですが、舗装されて見通しもいいため、

その神社までは子供の足で歩いても30分くらいで到着する距離にありました。

それまで興味もなかった場所なので「なんで?」と私が聞くと、祖母は

「近所の子が神社で倒れて亡くなった」

「あの神社は昔から良くない話を聞いている」

「お前は年が近いから連れて行かれてしまう」

というような話を心配そうな顔で話してくれました。

祖父の方は「心配のしすぎだ。あそこには何もないよ」と笑っていましたが。

両親の方も「危ないところへは近づくなよ」というようなスタンスで、幽霊やら心霊やらといったオカルトな方面は全く心配していないようでした。

当の私はというと、早速明日にでも神社に行ってこようと考えていました。

当時はTV番組がこぞって怖い話やら心霊写真やらを取り上げていた時期で、

恐怖よりも「心霊的な体験ができるかも」という好奇心の方が勝っていたからだと思います。

噂の神社へ

翌日、「“いつもの場所”で遊んでくる」と祖父母や両親に嘘をついて、私は例の神社へ出発しました。

カモフラージュに虫網とカゴをちゃんと持っていったあたり、悪知恵の働く子供です。

「夕方にお墓参りに行くから、それまでに帰ってきなさいね」

という両親の言葉を聞いて、
「五時の鐘が鳴る前に帰れば間に合うな」なんて、今思えば何ともどんぶり勘定な計算をしていたのを覚えています。

道路沿いを歩き始め、やはり30分ほどで神社に到着しました。

後で聞いた話ではお祭りなんかで使われることもあるらしく、少々オンボロなところを除けば至って普通の神社です。

裏手に回ってみたり、狛犬を眺めたりしているうちに、ふと違和感に気づきました。

うるさいくらいに聞こえていたセミの声がどこか遠くなり、道路を何度も通っていた車の気配が全く感じられないのです。

何故か狛犬の前にお供えしてあったカップ麺の容器を眺めながら、私が「あれ?」と思った瞬間でした。

「なにしてるの?」

びっくりして振り返ると、同い年くらいの男の子と、その弟らしい幼い男の子がじっと私を見ていました。

神社で遊んだ兄弟

彼の喋り方には方言の訛りがなく、地元の子供ではないのはすぐに分かりました。

きっと自分と同じように帰省してきた、どこかの家の「孫」なのだろうと、私は何の疑問も抱きませんでした。

白装束の女の人でも立っていれば、きっと「幽霊が出た」と大騒ぎしたのでしょうが。

「探検?」

男の子は、続けてそう訪ねてきました。
幽霊を探しに来たとも言えず、私は「虫を捕まえにきた」と嘘をつきました。

「俺らも混ぜて!」

兄弟は私の返答など聞かず、神社の周りの木や草むらを探し始めました。

とくに嫌な感じもしなかったので、私もそこからは虫取りに切り替えて遊び始めました。

草むらの中に見慣れないシルエットを見つけた私は、こっそりと近づいて網を振るいました。

網の中には、その辺りでは見たことがなかった珍しいトンボが入っていました。

体色が黒くて、腹のあたりが太いトンボ。
兄弟は「ハラビロトンボ」と呼んでいたと思います。

「やった!」

大喜びした私たちはそのトンボをカゴにしまいましたが、そこで弟の方が

「ねぇ、そのトンボちょうだい?」

と言ってきました。

私は虫を捕まえてもほとんどその場で逃がしていたので、少し可哀想だと思いつつ「いいよ」と答えました。

「じゃあ飼っていいか聞いてくる、ちょっとまってて!」

兄弟は神社を出て、道路沿いに走っていきました。

ひとり取り残された私ですが、カゴの中のトンボがだんだん可哀想になってきました。

数が少なく、珍しいということは仲間も少ないだろうと、子供心に考えたのを覚えています。

私はこっそりと黒いトンボをカゴから逃がすと、知らん顔で兄弟を待ちました。

しばらくして戻ってきた兄弟は、カラになったカゴを見るなり

「なんで逃がしちゃったの!?」

と地団太を踏んで怒り始めました。

私が用意していた言い訳も聞かず、兄弟は乱暴に「じゃあね!」と言い残して帰っていきました。

申し訳ない気持ちもあり、沈んだ気持ちで祖父母の家へと帰りました。

帰宅すると

神社から帰ると、端的に言えば大事になっていました。

戸を開けて「ただいま」と言った瞬間に目に飛び込んできたのは、玄関に腰掛ける近所のおじさんおばさんたち。
電話の受話器を耳に当てたまま深刻そうな顔で誰かと話す母親の姿。

「こんなに遅くまでどこに行ってたの!?」

私は確かに、夕方には祖父母の家に着いたはずなのですが。
思いっきり引っぱたかれた私が訳も分からず外を見ると、夕方どころかすっかり暗くなっていました。

時計の針は21時を回ったところで、普段なら家族全員でTVを見てくつろいでいるような時間。

「神社に行った、なんて言ったら引っぱたかれる」

そう思った私は、自分の身に起こった不思議な出来事を何とか隠し通しました。

蛍が見たくなった、道を間違えた、迷った……色々と嘘をついた気がします。

神社に行ったことは隠しつつ、大人たちの話を盗み聞きしたところ。
父親や近所の人たちが私を探してくれていたようなのですが、例の神社へも探しに行ったらしいのです。

そこまで広くない境内ですので、何かに隠れて見えなかったなんてことはないはずなのですが……。

あの兄弟が幽霊だったかどうかは分かりません。
ただ、「あのトンボを逃がさなかったらどうなったのだろう?」と思うことはあります。

彼らが何者であれ、神社であった「良くないこと」が一緒に遊んだあの兄弟と関係なければいいなと、大人になった今では願っています。

神社って、実は神聖な場所としてだけでなく、成仏できない霊も神頼みとばかりに集まる場所でもあるんですのです。その意味で、その兄弟が幽霊だった可能性もあります。ましてや、心霊スポットだったのですから・・・。
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by MHs on 恐怖体験の怖きゃん倶楽部

近所の住人です。ちょい近いから分かるけど嫌