35歳 男性 建設業の会社員 ARAKERUさん 北海道上川町で本当にあった怖い話
僕が20代前半頃に旅行会社の添乗員として働いていた時に起きた実話です。
僕は添乗員として北海道の各地の観光地を色々と行くのが仕事ですが、日帰りの時もありますが、2~3泊する事が当たり前です。そんな僕ら添乗員が宿泊するホテルの部屋にはパターンが二つあります。
①添乗員専用の部屋
②空いている客室
今回の僕の泊まった部屋は①添乗員専用の部屋です。
この添乗員専用の部屋にはいわくつきが多いです。
例えば「設備が古くなったから」という分かりやすい理由と「色々なクレームが多発する部屋」というのがあります。
後者の部屋は先輩たちに聞けばもれなく怖い話がたくさんでてきます。
僕が今回泊まる部屋は「クレームが多発する添乗員専用の部屋」です。
出発前から事前に先輩たちからこの部屋の情報は聞いていた事もあり、怖がりの僕は当時の彼女に寝るまでの間は電話をして貰う約束をしていました。
恐怖の始まりはいつもどうりでした。
ホテルに着いたのは午後5時くらいですが、添乗員としての業務を全て終えて部屋に入るころには夜の9時を過ぎていました。
僕の泊まる部屋はフロントからは一番離れた一階の端の部屋で、部屋に向かうまでに自動販売機もエレベーターも階段も無く、片側に部屋の入り口が並んでいるだけです。
今日は宿泊客も少なく一階の部屋は僕だけが泊まり。他のお客様は3階以上に宿泊をする事になりました。
部屋に入ると一目でおかしいのがわかりました。
僕の泊まる部屋は少し古くは感じるのと、あるはずの物がありません。
電話や冷蔵庫、鏡や装飾品が一つも無いという、宿泊施設にしては異様な部屋でした。
僕はその事に嫌な予感がとまりませんでした。
先輩たちからは金縛りになる、子供の声が聞こえるなどの心霊体験や幽霊話を聞いていた、僕はすぐさま彼女に電話をかける事にしたのです。
彼女と会話が楽しく怖い気持ちなど忘れて、約2~3時間話しているうちに安心した僕は、いつのまにか寝落ちしていました。
僕は突然の「カキン、カキン、カキン」となる金属音で目を覚ました、携帯電話を見ると通話は切れていて、画面は午前1時45分を表示していました。
不快な金属音は部屋の外から鳴りやまず響くのでフロントに相談に行こうと思い、ベッドから出てドアの方に近づくと、ドアの向こうに人の気配がある事に気づきました。
さらにドアと床の隙間から見える足の影がハッキリと僕の方を見て立っています。
恐怖のあまり急いでベッドに戻り、再び彼女に慌てて電話を掛けると、もうすでに寝ているハズの彼女がすぐに電話に出ました。
電話に出た彼女ははっきりした声で「どこにいるの??」と言い出しました。
よく分からない僕は「ホテルの部屋に居る」と伝えますが、彼女は全く信用せずに、何度も「どこに居る??大丈夫なの??」と必死に聞いてくるのです。
僕の身に起きている話よりも彼女の話が気になり理由を聞くと、後ろから「ヒュン、ヒュン、ヒュン・・・・」と一定間隔で聞こえるそうです。
テレビも何もない僕の後ろから音がし続けるそうです。
僕が聞く金属音とは違う音がするそうです。
直感ですが「やばい」という恐怖に支配されました。
鳴りやまない金属音、扉の向こうの影、彼女の聞く不快な音。
恐怖のあまり僕は身動きが取れず、電話越しに心配する彼女の声も聞こえなくなっていきました。
そのまま意識を失い、気が付くと朝になっていました。
彼女との通話は切れて沢山の着信とメールが来ていました。
金属音も止み、部屋の前の影も居なくなっているのを確認すると、僕は慌てて部屋をとびだしました。
何とかツアーの日程をこなして仕事を終わせて、自宅に帰った僕は一人で居る事が出来ずに、彼女に会いに行く事にしました。
久しぶりにあった彼女がいきなり「神社のお守り」を渡してきました。
驚いた僕は当然の様に理由を尋ねました。
彼女は渋々ながら話し始めました。
この前の電話の音は「刃物を振り降ろす音だと思うの」。
そして僕を怖がらせない為に隠していた事があるそうです。
音の他に「死ね・・惜しい・・もう少し」とつぶやく声がしていたそうです。
このホテルでの心霊体験は僕だけが経験したみたいです。
これを最後に僕は添乗員を辞める事にしました。