36歳 自営業 女性 あおいさん 神奈川県足柄下郡箱根町で本当にあった心霊の怖い話
これは私がリゾートバイトをしていた時に体験した実話の恐怖体験です。
留学の準備資金を貯めたかった私は、地元を離れて箱根の旅館で洗い場のスタッフとして働いていました。
毎日ハードな長時間労働でクタクタでしたが、仕事をするうちに友達もできて順調に日々を過ごしていたのです。あの夜までは・・・。
霊感の強い友達
私の働く旅館は温泉街から遠く離れた山奥の強羅にあり、小涌谷にある寮の周辺にも遊びに行けるような場所はありませんでした。
娯楽といえば、寮の部屋で仲のいい友達とお酒を飲みながら深夜までお喋りすることぐらいです。
いつも仕事の愚痴や恋バナなど他愛もないことを話しては盛り上がっていました。
ある夜、友達の部屋で飲んでいると「実は私、霊感があるんだ」と不意に打ち明けられました。
酔って冗談を言っているのかな?と思ったけれど、友達の口調は真剣そのものです。
彼女は私を怖がらせないようにその先を話すことを迷っているみたいでした。
私が「もしかして心霊でも見たの?」ときくと、友達は「駅のトイレは使わないようにして。あそこ、すごく嫌な感じがするから」とだけ言って、そのあと話題を変えました。
駅というのは私たちの寮のすぐ横にある鉄道の駅です。
私はもともと公衆トイレが苦手で使用することはないので、「わかった」と答えて理由は尋ねませんでした。
いつになく固い彼女の表情を見ていると、それ以上訊けなかったのです。
でも、その話はずっと私の心に引っかかっていました。
深夜の駅
その日も遅くまで残業で、私が送迎車を降りたのは24時を過ぎていました。
いつもは洗い場のスタッフが一緒に帰ってくるのですが、居残りの掃除当番だったのでみんなよりも遅い便で帰ることになったのです。
送迎車を降りて寮の入り口まで辿り着くためには、階段を下りて暗い駅の踏切を渡らなければなりません。
送迎車を降りる前から、私は友達の話を思い出して背筋が寒くなっていました。
だからスマホの電灯で足元を照らしながら、なるべく右側を見ないで歩くことにしました。
友達が使うなと言った駅のトイレは、階段のすぐ右側にあるからです。
「嫌な感じ」の正体
階段を下りて踏切を渡り、左に進むとすぐに寮の入り口です。
ひとりで歩くとこんなにも心細いのかと思いながら、私は暗い階段を降り始めました。
周囲の明るさで深夜でもトイレに煌々と灯がついているのが分かります。
見ないように、見ないようにと念じながら足を動かしていると、どこからかぼそぼそと人の話し声が聴こえてきました。
「もしかして誰かいるのかな?」と思い、つい顔を上げてトイレの方を見ました。
そして、それをすぐに後悔しました。
トイレの窓にべったりと女の人がはりついて、すごい形相でこちらを睨んでいたからです。
それはこの世のものとは思えないほど恐ろしい顔でした。
私は叫び声をあげながら走って寮まで逃げ帰りました。
今起こった事をどうしても聞いてほしかったので、夜中に申し訳ないと思いながらも友達に電話して、その日は部屋に泊めてもらうことにしました。
恨みに満ちた形相
パニックが落ち着いてから自分の体験を話すと、友達は「私も同じ女性を見た」と教えてくれました。
霊感が強い彼女は、昼夜を問わず駅を通るたびにその姿が見えるそうです。
「あの場所に縛られているみたいだから、トイレに近づかなければ大丈夫」と言って、私の肩に塩をまいてくれました。
初めて心霊を見た私は、そう言われてもなかなか恐怖心が消えませんでした。
その日以来私がその女性を見ることはありませんでした。
ただ、それからは寮や送迎車の中で誰かが怖い話を始めると、あの体験を思い出して具合が悪くなるようになりました。
リゾートバイトを辞めてからしばらく経った今でも、あの女性の形相をはっきりと思い出します。
もしかしたらあの心霊は自分を殺した誰かを探しているのかもしれません。
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