38歳 会社員 女性 テトラさん 沖縄県うるま市で本当にあった怖い話
これは私が中学3年生の時に体験した話です。
私は沖縄県本島中部の中学に通っていて、バスケットボール部のキャプテンでした。
当時、部活後の体育館の戸締り確認は、キャプテンとマネージャーの仕事でした。
体育館での戸締りは、体育館を使用する各部活で曜日ごとの当番制になっていました。
部員全員で戸締りをした後、戸締りの最終確認をするだけなので、特に大変だということはありませんでした。
ただ、練習がきつかったので億劫でたまりませんでした。
戸締まりをした後で
この日もいつものように、マネージャー二人と私の三人で手分けをして戸締り確認をしていました。
担当場所が決まっていて、私は二階ギャラリー、マネージャー二人は一階フロアーと倉庫と舞台裏が担当でした。
戸締りの後、他の部員は体育館を出ていて、残っているのは確認作業をする私たち三人だけ。
一階フロアーからは、マネージャー二人が大きな声で話しながら施錠確認をする声と、シューズが床をキュッキュッと擦る音が響いていました。
「バレー部の○○が彼女と別れたらしいよー」
「えっ、マジで? A子チャンスじゃん!」
「私もA子にチャンスじゃんって言ったのよ~。でもA子さぁ、△△から告られて付き合い始めたばかりらしい」
「なにそれっ! ○○一筋じゃなかったの?」
「なんつーかさぁ、思い続けるのに疲れているところに△△が心の隙間に・・・って感じだったらしい」
「へぇー、そんなもんかなぁ」
二人の会話を聞いて、「よくまぁ大声で元気にしゃべるなぁー。彼氏かぁー。心の隙間かぁー。なんか色々面倒くさー」と思いながら自分の持ち場の確認作業をしていました。二人の話は続き、
「っつーか、なんかいつも戸締り当番の日って嫌なんだよねー」
「わかるわかる! 先輩から聞いた話、当番の日に限って思い出す。」
「でも、実際に見たって言う人に会ったことないけどねー」
ある噂
なぜ一階担当を二人にしたかというと、一階フロアーにある道具倉庫と舞台裏は怖いウワサがあったからです。
自殺した生徒だか先生だかの心霊がでるというウワサ。
だから、どの部活の戸締り担当も一階は二人で担当になっていました。
私は霊感などなく、そもそも心霊なんて信じてもいませんでした。倉庫と舞台裏なんてあまりにもありきたりな感じだし、どんな学校にもある「あるある話」でしょって思っていました。
目に見えるものが全てだという現実主義っていうわけでもなく、ただ単に部活で頭がいっぱいで練習でヘトヘトだったので、そんな事はどうでもいいことでした。
そんな感じで戸締り確認が半分ほど終わった時、ふと窓から外を見ました。
体育館から遠く離れた運動場の端、外の部活用の部室の横に人が見えました。
野球部かサッカー部の顧問の先生だろうと思っていました。
かなり日も落ちてきてどの先生かは確認できませんでしたが、そんなところに立っているのは先生ぐらいなのでそう思っていました。
特に気にも留めずに確認作業を再開したほんの1,2秒の間に「その人」が運動場真ん中に立っていました。
一瞬「あれ?何か速いな」と思いました。1,2秒で到達する距離でもなかったのです。
何度か目を離して見るたびに「その人」は体育館に近づいてきました。
なんだか気持ち悪くなったので、急いで確認作業を終わらせ一階フロアーのマネージャー達と合流しました。
マネージャー達に今日は早いねと言われ、「早めに帰りたいからね」と適当に返事をしました。
入口の鍵を閉める寸前、二階ギャラリーを見上げるとそこに「その人」が立っていました。
一緒にいたマネージャー達は普段通りで、何ら変わったところがありません。
何が起こっているのかわからず、頭が混乱しました。変に思われるのも嫌だったので、マネージャー達には話しませんでした。
帰宅後に
家路の途中もずっと「その人」が頭から離れません。
あれは一体なんなのだ? 疲れているだけ? マネージャー達はあれが見えてなかった? 気のせい?
途中何度も後ろを振り返ってみましたが、「その人」を見ることはありませんでした。
答えは見つからないまま家に着きました。
両親、姉兄も帰宅しており、なんだか家族の顔を見てホッとしました。
安心するとなんだか気にならなくなっていて、夕食を食べ、しばらくして風呂に入ることにしました。
脱衣所の扉を開けたときでした。
「その人」がいたのです・・・・。
無表情で私をじっと見つめて立っていました。
私は恐怖のあまり声も出せず、その場から動くこともできませんでした。
動けなくなった私を台所からでてきた母が見つけて声を掛けました。
私は、震えて「見てる、見てる、怖い怖い怖い」と泣きながら繰り返し、母に縋りつきました。
私以外の家族には「その人」が見えませんでした。
異様に怯える私をどうすることもできずに、家族は心配してオロオロするばかりでした。
一晩中、私は母に縋りついたままでした。
翌日は高熱がでて、私は学校を休みました。病院へ行ってもインフルエンザでもなく、原因がわかりません。
薬をもらいしばらく家で安静にし様子を見ることになりました。
安静にして横になっている私を「その人」は部屋の隅からずっと見ていました。
相変わらず「見てる、見てる、怖い怖い怖い」と言い続ける私を心配して、同居している祖母が近所の霊能者のお婆さんに相談しに行きました。
霊能力者の答えは
この地域ではちょっと不可解なことが起こると、こういう方に相談するということが当たり前です。
相談に来た祖母を見たお婆さん霊能者は、祖母が何も言わないうちに
「お孫さんのほうに来ちゃったのね」
と言ったそうです。
そのお婆さんが言うには、「その人」はご先祖の一人らしく、ちょっとワケありでうちの墓に入れなかった人らしいのです。
祖母ですら知らないらしいので、「その人」についてはこれ以上どうすることもできませんでした。
お婆さん霊能者は「その人」を説得し、成仏させたらしいです。
その後すぐ、原因のわからない熱も嘘のように下がり、元気になりました。
祟りというより、見てしまったストレスからくる発熱だったのかもしれません。
私の恐怖体験はこれ以後はありません。霊感のない私が見えてしまったのは、偶然だったらしいのです。
お婆さん霊能者曰く、「疲れた時にできるちょっとした心の隙間かな、こういうことって偶にあるのよ」
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