37歳 地方自治体の嘱託職員 女性 安納吽さん 山梨県甲州市で本当にあった心霊の怖い話
自分には霊感は無いと思っていますし、心霊体験というものもしたことはないと思っています。
しかし一度だけ、ものすごく奇妙な体験をした記憶があります。
花魁淵とは?
私の住む山梨県には、全国的に知られている心霊スポット「おいらん淵(花魁淵)」があります。
武田信玄の時代、隠し金山での採掘作業の際、慰安のために遊女たちが集められましたが、彼女たちは全員閉山時に口封じのため殺されてしまった、という因縁のある場所です。
この付近では交通事故が多いだとか、山を彷徨う遊女の例を目撃しただとかいう怖い話が今なお多く実話として語られており、昔のテレビでよくあった心霊特集などでは、一度ならず取り上げられたことのある場所です。
かつて有名霊能者が、「ここは私の手に負えない。」とロケバスから降りなかったこともある、という噂もまことしやかに伝えられていて、それぞれの話の真偽はともかく、山梨の心霊スポットの代名詞のような場所と言えます。
とは言え、心霊スポットを訪れる趣味は、私にはありませんでしたし、今後もそう言った目的で、おいらん淵周辺を通ることもないでしょう。
では、このおいらん淵に関連して、いったいどんな体験をしたか。
テレビ経由の心霊体験
私の体験は、現地に赴いた際に見舞われた出来事ではないのです。
テレビで放送された、実話怖い話の番組視聴中に、とんだ不思議体験をしたのです。
たしか、季節は丁度今くらいの時期の、夜遅くのことでした。
仕事帰りの夜食をとりながら、録画しておいた問題の番組を視聴していました。
番組のタイトルは忘れてしまいましたが、おいらん淵で口封じされた遊女のものと思われる、戦国時代の女性の簪が見つかって云々、という話を中心に、事故を起こしたバイクの不自然なタイヤの傷は、この簪によるものではないか、などの考察も語られている、そんな内容が放送された番組だったと記憶しています。
問題の体験は、おいらん淵付近で目撃される遊女の心霊の目撃談が流れているときに起きました。
目撃談の内容は、淵から落とされ、大けがを負った遊女と思しき着物姿の女性たちが、霧の立ち込める山の中を、お鈴を鳴らす僧侶に先導されて歩いている、というものでした。
(お坊さんも、遊女の霊と一緒にうろうろしているの?妙な話だなあ。浄霊に失敗して引きずり込まれたお坊さんなんだろうか。)
(お坊さんにきちんと供養されたなら、成仏するよね。そんなに、恨みが深いのだろうか。それとも、お坊さんの方に何か、油断でもあったんだろうか。)
(もしかしてもしかすると、遊女たちのほとんどはこういった供養で成仏していて、今現在目撃されている「遊女の霊」は、私たちがあの場所を「危険な心霊スポット」と見做しているために、見えているものだったりしないかな。)
などと思っていたところ、突然両眼から涙があふれて、止まらなくなったのです。
理由は分からず
自分でも、この涙の理由はまったくわかりませんでした。
失礼な言い方になりますが、この再現VTRの内容や映像は、決して大人である自分が泣くほど怖かったとか、ショッキングだったとは言えないものだったと覚えています。
心臓に悪い大音量や、いきなり心霊の顔面がどアップで表示された、ということもありませんでした。
それなのに、哀しくも怖くもない気持ちを無視して、あとからあとから涙がどんどん溢れて止まりませんでした。
当然、目に何かゴミが入った、というようなこともありません。
実話系心霊怖い話などでたまに見かける「霊に体を借りられている」状況というのが、このような状態を指すのだろうかと、のちに私は考えましたが、真相は不明です。
花魁の因縁が電波に乗って伝わったのか?
もし本当に、あの時何か心霊のような存在が私の身体を借りて泣いていたのだとしたら、そのひとは何を思って泣いていたのでしょうか。
未だに怨霊扱いされて恐れられていることを、遊女が嘆いていたのでしょうか。
それとも、成仏した遊女が、未だに彷徨う当時の仲間がいることを、私に訴えていたのでしょうか。
以上が、私の体験した「おいらん淵」にまつわる実話です。
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