29歳 看護師 女性 みんみんさん 和歌山県和歌山市で本当にあった怖い話
これは私が、新人看護師として中小病院の脳神経外科で働いていた時に起きた恐怖の実話です。
深夜二時のナースコール
夜勤中、深夜2時頃のことでした。巡回後で患者さんは寝静まっている中、先輩2人と私の3人で休憩しながら談笑している時に、『ピーン、ポーン』ナースコールが鳴りました。ナースコールが鳴ること自体は珍しくありませんが、何分深夜です。
患者さんの不穏・徘徊によるセンサーマットが鳴ったのではないといいけれど……。そう思いながら先輩達と顔を上げ、どの部屋から鳴ったのかディスプレイで確認をしました。
そこで、私と先輩達の動きは止まりました。部屋の号数、ベッド番号は表示されていますが、その後ろにあるべき患者さんの名前が表示されていないのです。それはつまり、そのベッドは空床であり、誰も患者さんはいないということ。
どうして誰もいないベッドでナースコールが鳴っているのか……。
部屋に確認しに行くと
とにかく、一旦ナースコールの音を止め、3人で部屋を確認しに行きました。恐る恐る部屋を覗き、そのベッドまで足を運びましたが勿論誰もおらず、ベッドのシーツはベッドメイキングされたままきれいな状態です。
大部屋であったため、他のベッドにいる患者さんが誤って押してしまったことも考えましたが、他の患者さん達はみんな、寝息をたてて寝ています。
ナースステーションに戻って、先輩達と蒼い顔を向き合わせている時に、誰かがポツリと言いました。
「あのベッド、この間亡くなったSさんのベッド……」
Sさんは、先月、脳の腫瘍を摘出する手術を行い、術後の経過は順調で退院の目処もついていた高齢男性です。
もうすぐお孫さんの結婚があるんだ、だからリハビリを頑張るんだと笑顔で話していたのを今でも鮮明に思い出せます。
ある日、お孫さんの結納の日があり、お孫さんと婚約者の方に会うために、主治医の許可を得て一時的に外出をされました。
夕方、病院へ帰ってきた後、「久々にでかけたから疲れた。」と言われていたそうです。
午前4時の巡回時に眠っているSさんに、ふと違和感が生じて声をかけた看護師が心肺停止であることに気づき、急ぎ全力で蘇生を試みましたが結果虚しく……。
そのSさんが亡くなったベッドであり、その後は誰もそのベッドを使用していない。その事に気づいた私達は言葉を失いました。誰もが思ったのです。
「Sさんが心霊になって、ナースコールを押したのではないか?」と。
まさかね、気のせいよ、そう信じたい一心で他の業務にあたりました。
後で知った事実
普段心霊現象や怖い話を聞いても信じない私です。
今までも、寝たきりで自分で身動きがとれない患者さんのみの部屋からナースコールが鳴ったこともあれば、聞いたことのない音のナースコールが鳴ったこともあります。
その都度、「気のせいよ、きっと誤作動よ」と思っていました。今回のことも、そう思って忘れるつもりだったのです。
数日後の夜勤中、ふとナースコールのことを思い出し、何気なくSさんのカルテを開きました。
すると主治医の記事から、Sさんが亡くなったのは深夜2時頃であろうと書かれていたのです。
あのナースコールが鳴ったのは深夜2時頃……、そして今も深夜2時。『ピーン、ポーン』静寂の中、鳴り響く音に、さっと血の気が引きました。
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