28歳 元看護師/農業 女性 たっどぽーるさん 宮崎県都城市で本当にあった心霊の怖い話
<宮崎県『関之尾滝』。楽しいはずの家族旅行が…>
これは私が今月体験したばかりの怖い話です。
宮崎県の義理の実家に帰省する途中、たまには観光でもしていこうと軽い気持ちで立ち寄った関之尾の滝。
お酌を失敗した女中が滝から身を投げ、その恋人だった男性は彼女を偲ぶ歌を岩に書き付けていなくなり、ツツジの咲く頃になると朱塗りの盃が滝壺に浮かぶ…という逸話のある場所です。
とはいえ、真昼間の観光地でまさかあんな恐怖が待っていようとは、はしゃぐ子供たちを乗せた賑やかな車の中では、まったく想像もしていませんでした。
快晴の穏やかな昼間。忍び寄る不穏な空気
夫と私、まだ小さな子供2人と関之尾滝に到着したのは、午後2時をまわったころ。2月であるにも関わらず、晴天で風もなく、歩けば汗をかきそうな暖かい日でした。
滝の駅という売店がある第一駐車場に車を停め、階段を下りて滝の方へ。
すぐに公衆トイレがあり、娘と用を足して出てきた瞬間、ふと先程までしなかった妙な臭いがすることに気が付きました。「何か臭くない?」と夫に聞いてみましたが、「え?綺麗なトイレだったけど」との返事。そういうことではなく、私が感じていたのはもっと生き物のような、例えるならイノシシをすぐ側で殺して捌いたような獣の生臭い臭い。
昔からこういう時は、いつも何かしらの心霊現象に見舞われていたので嫌だなぁと思いつつも、折角の旅行に水を差すのは申し訳なく、他に観光客も沢山いるから大丈夫と言い聞かせて渋々滝に向かったのでした。
揺れる吊り橋。怖いのは足元だけではなかった!
程なくして滝の正面にある細長い吊り橋に到着。他にも同時に渡っている人たちがおり、わりと揺れる吊り橋にビクビクしながらつかまっていると、視界の端に何か赤黒い筋が流れていくのが見えました。
えっ、と思って滝の方に目をやると、どうどうと流れ落ちる滝の途中の岩に女性が立っています。そして彼女は一度体育座りをするようにしゃがんで、そのままずるりと滝壺に落ちていきました。
「目の前で投身自殺!?」と思いましたが、他に何人も滝の方を向いて写真を撮ったりしていたにもかかわらず、誰も何も言わない。心配になって滝壺や下流の方をよく見てみましたが、体が浮かんでくるでも血が流れてくるでもありません。
「早く行こうよー」と息子に手を引かれてもう一度上を見ると、同じ女性が何事もなかったように、飛び降りる前と同じ姿で立っていました。
滝の上、甌穴群の狭間に浮かぶのは…
橋を渡り、山道の階段を少し登っていくと、甌穴群という窪みのある石が集まった滝の上に出ました。
先程の事があったので、私は早く帰りたい気持ちでいっぱいでしたが、石の間を流れる水の中に小魚を見つけた夫と子供たちが楽しそうに遊び始めてしまいました。
仕方がないので私も石の上に乗って、水溜まりの隅に固まって泳いでいる小魚の群れをぼんやり眺めていると、何かがきらりと動いたように感じました。
身を乗り出して覗き込んだ私の顔が水面に映り、そしてその後ろにはいるはずのない中年の女性が無表情で立っていました。
どうしようどうしようと思っているうち、人の髪の毛のような感触が首筋に纏わりついてきて慌てて立ち上がると、足を滑らせて片足だけ水の中に落ちました。暖かくても2月の川は極寒でした。
終わらない恐怖!けして振り向いてはいけない
ここはヤバイ、早く帰らなければと思い、「売店のアイスクリーム食べに行かない?」と子供たちを誘惑して滝の外へ脱出。
売店前のベンチで抹茶ソフトを食べている間、『関之尾滝は有名な心霊スポットでもある』というサイトを見つけてしまってゲンナリ。
知ってたら最初から来なかったのに…
やれやれと車に乗り込み、夫が車をバックさせている時何気なくフロントミラーを見ると、リアガラスに張り付くように立っている黒い影がありました。
そんなものには一切気付かない様子で車の向きを変え、義理の実家に出発する夫。念のため実家に到着してから車を確認しましたが、人を轢いたような痕跡はありませんでした(あったら大変ですが)。
あの時降りて確認していたら、ひょっとして「何か」がずっと付いてきていたのかも…と思うと、水面に映った女性の顔を思い出して冷や汗が出そうになります。
実話なので帰宅後本当にそれ以上の心霊現象は起こらず(盛り上がりがなくてすみません)、私以外の家族は心霊現象が起きていたことなど全く知らず、普段通り平和に暮らしています。
ただ私は、誰かに誘われたとしてももう二度と、関之尾滝には行きたくありません。
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