21歳 大学生 女性 さくさん 神奈川県鎌倉市で本当にあった心霊の怖い話
これは私が鎌倉のある旅館で体験した怖い実話です。
大学進学で上京し、静岡の田舎に母を1人残してきた私は、事あるごとに母を誘って旅行やお出かけを企画していました。
ある旅館を予約したときの話
これは私がちょうど大学生になって2年目の5月。母の日に母と旅行に行こうと、その日のために稼いだバイト代で、少し格式の高い旅館を予約しました。
これまでの旅行では母がすべての旅費を支払っていてくれていたのですが母の日ぐらいは格好をつけたく、母には相談せずレビューサイトで一番評価の高かった旅館をよく見ないままに予約しました。
場所は鎌倉です。母は寺院や大仏など日本古来の建物が好きだったので、連れて行ってあげたかったのです。
その年の母の日は5月にしてはとても暑い日で、旅館に着いた時には私たちは汗もダラダラでヘトヘトでした。
和室で広い部屋
鎌倉の街を散策する前にシャワーを浴びよう、ということになり、部屋に荷物を置きに行きました。部屋は豪華で、テレビのある和室とベッドのある寝室のふた部屋でした。母が「2人だけなのにこんな広い部屋すごいね、ありがとう」と言ってくれたので嬉しかったです。
母が先にシャワーを浴びることになり、私はベッドの上に寝転んでスマホで鎌倉の美味しいご飯屋さんを調べていました。
外はカラッと晴れているのに、部屋の中はなんだかジメジメしていたのを覚えています。気楽な私は、古い旅館だしまあそんなものか、と思いました。
しばらくスマホを弄っていると、シャワーを浴びて着替えた母がこちらにきました。母は開口一番
「ねえ、お風呂場来た?」
と聞きました。
私はずっと寝室にいました。行ってないよ、と言うと、母は嘘だあ、と笑いました。私は時々母にそういう悪戯をすることがあったので、その類だと思ったようです。いや本当に行ってないんだよ、というと母は少し真面目な顔になり、
「洗面所のドアが開く音がしたから、さくちゃん?って呼んだだよ。そしたら出てっちゃったの。あれさくちゃんじゃないの?」
不気味だな、と思いましたが、風でも吹いて音がしたんだろう、といなし、私たちは街へ出かけました。
次々と起こる会議現象
海鮮丼や釜揚げしらすをたっぷりと食べ、お土産屋を回って旅館に帰ってくる頃にはもう夜でした。先程あったことなど忘れ、あとで温泉に行こう、と談笑しながら部屋に入りました。すると突然、複数の人の笑い声がワッと聞こえました。えっ?と思い確認すると、それは和室からでした。テレビがついていたのです。
母に、テレビをつけたか、と確認するともちろん首を横に振ります。というか一緒に部屋を出たのだからその時にテレビがついていなかったことなど流石に覚えています。
母は「女将さんが勝手に付けていったんじゃない?」と言いましたが、ベッドメイキングもせず、茶菓子も補充せず、テレビだけつけていくような女将さんがいるのでしょうか。
いよいよ気味が悪くなり、そそくさと旅館の温泉に向かいました。
のぼせやすい私は一足先に湯から上がり、マッサージチェアの上で涼んでいました。ちょうど目の前には窓があり、そこからは日本庭園を望むことが出来ました。
すると、日本庭園の上をペタペタと足が歩くのが見えました。なにかが窓に反射したのだろう、と思いましたが確かにそれは足でした。私は霊感など全くありませんし、それまでオカルトの類は信じていませんでしたが、(あ、心霊だ)と直感が訴えました。
足は、日本庭園を出、ぺたぺたとどこかへ向かうように歩き始めました。これも単なる直感なのですが、私たちの部屋に行くんだ、と思いました。不思議と冷静で、なぜか怖さなどはあまりありませんでした。
問題は旅館ではなかった
その後部屋に帰ったあとも、テレビが勝手についたり、母が洗面時にいると勝手にドアが開いたりと、不思議なことが多々起こりました。
お会計の際、気になった私は、
「あのう、もしかして、ここってなんか出たりしますか?」
と女将さんに聞きました。失礼なのは分かっていたのですが、どうしても気になったのです。
女将さんはしばらく黙った後、
「土地が土地ですから…」
とだけ言いました。
帰りの電車で、由比ヶ浜、と調べるとそれらしいサイトがたくさん出てきました。
もっと怖かったのは、泊まった旅館の名前を調べようとすると候補の一番上に「心霊」と出てくることでした。
せっかくの母の日に母には怖い思いをさせてしまい申し訳なかったです。
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