富士急ハイランドの戦慄迷宮は、日本一怖いと言われているお化け屋敷です。
そしてこの戦慄迷宮には本物の幽霊が出るという噂が多く出回っており、心霊スポットとしても有名になっています。
私はかつて戦慄迷宮で働いていたことがあるので、今回はその噂の真相について、私の体験に基づいた実話をお伝えしたいと思います。
戦慄迷宮の特徴
戦慄迷宮は、山梨県富士吉田市の遊園地「富士急ハイランド」にあるアトラクションのひとつで、かつて凄惨な人体実験が行われ多くの患者が無残に殺されたといわれる廃病院の中を、自分で歩きながら進んでいくウォークスルー型のお化け屋敷です。
このお化け屋敷のお化け役は演技指導をされたプロのアクターで、それも複数人います。「人による脅かし」が多いことがこのお化け屋敷の売りになっています。
なお、この戦慄迷宮のアクターは皆男性です。
女性の場合は化粧を落としてお化けメイクをしないといけなかったり、お客さんに触られたり、体力的に厳しかったりといったことがその理由です。そのため女性スタッフは外の案内役として配置されています。
また、アクターのよる脅かしは安全面に十分配慮しており、「階段での脅かしは禁止」「お客さんとは必ず1mは距離を保ち、触ることは禁止」といった厳格なルールがあります。
戦慄迷宮の昔からの噂
上記のような決まりがあるにも関わらず、戦慄迷宮がオープンした当初から、インターネット上では「階段の近くに女性のお化けがいた」「お化けに触られたような気がする」という噂が相次いでいます。
それ以外にも、「背後からお経のような声が何度も聞こえた」「何もないところで金属製のものが落ちる音がした」というような奇妙で怖い話も出ています。
私が実際に体験した心霊体験
私は実際に戦慄迷宮で働いていましたが、アクターは皆ルールを守って脅かすよう、最初は監視役付きで教育され、ルールを破れば厳しく処分されます。階段や至近距離での脅かしは大事故にも繋がりかねない危険な行為なので、そのようなことをする人はいませんでした。
しかし、私がアクターとして現場に配属される前に勉強がてら1人で戦慄迷宮に入ってみた時のこと。
まず、最初の説明映像を見るために1人で部屋に入って座っていると、隣に誰もいないのに腰の辺りを触られた感触がしたのです。もちろん、私は戦慄迷宮のギミック(機械による脅かし)に関しては熟知していますから、その部屋にそのようなギミックはありません。
映像を見終わってペンライトを持ちながら館内を進んでいくと、長めの下り階段を降りた辺りで、ぼんやりと佇む背の低い女の子が見えました。
白衣を着ていて、なんだか光のような、実態のない感じに見えました。その女の子はペンライトを持っていなかったので、前のお客さんに追いついたわけではないはずです。恐怖のあまり幻覚が見えてしまったのでしょうか。
その後は特に気になる現象は起きなかったものの、お経のような声を出して脅かしをするアクターも、金属製のものを使って音を出すアクターもいませんでした。館内には鉄板が落ちる音を発するギミックはありますが、初めて入る人でも明らかにギミックだと分かるものですし、本物の幽霊と錯覚させるような「お経のような声」「金属製のものが落ちる音」を発するギミックはありません。
戦慄迷宮からそう遠くないところに自殺の名所と言われる青木ヶ原樹海もありますし、もしかしたら戦慄迷宮には本物の幽霊が住み着いているのかもしれません。
私も、戦慄迷宮で働いていたらお客さんが怖がってくれるのが楽しくて、自分の家みたいにすごく居心地が良くなってきましたから…。