29歳 加工食品販売業 男性 やまなかさん 東京都葛飾区で本当にあった怖い話
私が小学生だった頃、夏休みや春休みの長期休暇になると父方の祖父母の家に泊まりに行くことが恒例になっていました。
私は祖父も祖母もとても好きだったので、その家に行けるということに毎回喜びを感じていました。
父親が車を出してくれて高速で向かうのですが、祖父母の家に到着するまでもわくわくして毎日のように見る景色も全く違うものに見えていたことを覚えています。
祖父母の家で1番気になっていること
ただ、私にはそんな大好きな祖父母の家の中で唯一とある箇所だけどうしても嫌な気持ちになるところがありました。
それは2階にある祖父の部屋の中にある掛け軸でした。その掛け軸がなぜそこまで嫌だったのかというと、女性の絵が怖かったからです。
その掛け軸は祖父が気に入って購入したものだったらしく、私もそれはわかっていたのですがなんとなくその掛け軸に描かれている女性が暗く悲しい顔をしているように思えていたのです。
祖父の部屋での嫌な気持ち
私の祖父はどちらかというと話すことが好きな性格であったので、どこに出かけても見知らぬ人に声をかけていつのまにか溶け込んで話しているという特技のようなものがありました。
それは家族も同様で、祖父と話すことによって気分が嫌になる人というのは見たことがありませんし、私自身もその1人でした。
そして祖父は逆に1人でもくもくと作業をすることも好きだったので、毎日寝る前になるとクロスワードを部屋の中でやるというのが恒例になっていたのでした。
そのため、祖父母の家に泊まりに行った時には寝る前になると私も祖父の部屋で一緒にクロスワードをしていたのです。
そんな時でした。
クロスワードをしている場所からすぐそばに例の掛け軸があったため、クロスワードに集中している時でさえなんとなく目に入って気になってしまっていました。
別に気になるだけなら我慢することが出来たのですが、その日は少し違ったのです。なんとその掛け軸の女性からじーっと見られているような嫌な気配を感じたのです。
祖父の部屋で起こった奇妙な出来事
じーっと見られているような気配を感じながらも、クロスワードで楽しく2人で盛り上がっていました。
「見られている気もするけど、そのうちこの嫌な気持ちもなくなるだろう。」と気楽な考えでいました。
というよりも、そういう風に考えていないと余計に気にしてしまうし、私はなにより小学生でしたので怖いと思えば思うほどに余計に怖くなってしまうと思ったからです。
しかし私の見られているような感覚というのは、本当のことへと変わりました。
クロスワードをしながらだったのでかすかに聞こえただけだったのですが、「ううぅ」というような苦しそうな声が聞こえてきたのです。
ただ、祖父に言ってももしかしたら信じてもらえないかもしれないし、信じてもらえなかった時の寂しさも感じたくなかったので話しませんでした。
「これがどうか気のせいで終わってくれ」と祈っていたのですが、その祈りは無駄に終わってしまいました。
また、「ううぅ」と苦しそうな女性の声が聞こえてきてしまったのです。しかも祖父には全くそれが聞こえていないようだったのです。
私はそれで恐怖心から立ち直れなくなり、その声に全てを支配されているような感覚に陥ってしまいました。身体の震えは止まりませんし、汗もとにかくひたすらかいてしまっていました。
そして次の瞬間、私の耳元で「ふふふふ」と女性の微笑むような声が聞こえたのです。私はクロスワードどころではなくなり、すぐに祖父の部屋から出て父や母のいる部屋へと逃げてしまいました。
声の正体
その女性の声で逃げてしまった私は、父と母にクロスワード中に起こった出来事を細かく全て話しました。
すると父は「お前も体験したか」と少しわくわくしたような顔で聞いてきました。
なんでそんなにわくわくしているのか不思議で仕方がなかったのですが、その後話してくれた話によると、祖父の部屋には昔から座敷わらしが住み着いているらしく、その掛け軸に憑依しているようだということだったのです。
もちろんこの世のものではないものと接触した感覚は気持ちの良いものではなかったですが、悪霊などではないということがわかって心からホッとしました。
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