30歳 教師 男性 ウミネコの投稿した心霊体験
これは母方の叔母から聞いた実話です。
今からもう20年以上前のことですが、叔母は夫、私から見ていとこにあたる娘と息子の家族4人で東京都品川区の青物横丁に住んでいました。
青物横丁の旧アパートで体験した実話
品川というは、ご存知の人も多いでしょうが、歴史の古い街で、旧東海道が通っていたこともあり、今でも多くの寺社仏閣が建てられています。
彼女のうちはちょうどお寺の裏手にあたる大きな集合住宅でしたが、外から見る限りは何の変哲もないごく一般的なアパートです。
ちなみに、ずいぶん前にこの住宅は取り壊されて、今は大きなスーパーに姿を変えています。
ラップ現象が起こるアパート
さて、叔母によると、前からこの家では、いわゆるラップ現象と呼ばれる、おかしなことがよく起こっていたようです。
真上の部屋には誰も入居していないのに、いきなり床を叩く音が聞こえたり、明け方や真夜中に廊下をナニモノカが走る足音がしたりしていたそうで、それでも十分気味が悪いのですが、長年住み慣れた家ということもあって、特に気にすることもなくそこに住み続けていました。
背後から視線を感じる
夏のある日、夫が残業で帰宅が遅く、子供たちはまだ塾へ行っているとき、彼女は一人台所で夕食の準備をしていました。
いたって普通の日常です。しかし、この晩に限って、なぜか急に背後から視線を感じました。
「誰かに見られている。」
そう思い、猛烈な恐怖を感じながらも、彼女は勇気を振り絞って、おそるおそるゆっくりと後ろを振りかえりました。
誰もいません。当たり前です。
まだ家族はまだ外にいるのですから。
「なんだろう、気持ち悪いな。」
「疲れているのかな。」
そう思いながらも家事に戻りました。そのうち、家族もみな帰宅してその日は何事もなく一日が終わりました。
またしても背後からの視線
翌日、一人で夕食の支度をしていると、また後ろから視線を感じました。でも、昨日とはどこか違う、強烈な視線。
それも、刺すような強烈な視線です。料理をする手を止めて、深呼吸をします。
張り詰めた空気がその場を支配します。冷や汗をかきつつ、再びゆっくりと振り返りました。
誰もいない。
やはり、気のせいなのでしょうか。子供の教育方針で最近夫ともめているから、あるいは家計のやりくりが大変だからか、すこし神経が高ぶっているのかもしれません。
しかし、とても残念なことに、次の日も、そのまた次の日も、叔母は背後からの視線に晒されることになります。
これは解決すべき問題です。
恐怖を通り越して怒りに
しかしここまでくると、叔母は恐怖を通り越して、なんだか困っている私を見て面白がっているナニモノカ、恐らく心霊なのでしょう。霊に対してとても腹が立ったそうです。
そこで、彼女はこれまでの方法を改め、ゆっくりではなく、急に振り返ってそれを見てやろうと決意しました。
夕刻。決まって台所に立っているとき。ナニモノカが再び音も匂いもなくやってきて、彼女に強い視線を送ります。
叔母はそれに気づくと、包丁を流し台の中に置き、キッチン台の端に両手をついたまま、いきなりバッと振りかえりました。
ワンピースを着た女の霊
すると、そこにはワンピースを着た女が立っていました。
いつも違う叔母の動きに慌てふためき、肝をつぶした表情で一瞬のうちに消えていなくなりました。
「あれは…。」
言葉を失ったまま、立ち尽くします。あの人は、いったい誰だったのでしょうか。
白いワンピースを着た、自分とそれほど年の変わらない女性。
でも、絶対どこかで見たことがあるような気がする。昔の同級生にも古い友人にも思い当たる節はないが、どこかで見たことがある。
この日を境に、もう二度とナニモノカが現れることも、ラップ現象も起こらなくなりました。
後で分かった事実
問題は解決したものの、しかし数日経って彼女は大きな事実に気づいたのです。そのときのことを、叔母は私にこう話してくれました。
「あの、女の人だけどね。そのあと誰か思い出したの。あれね、私だったの。髪型や年はちょっと違って見えたけど、顔の形や背格好からして絶対に私だった。白いワンピースを着た私自身だったの。つまりね、私が白いワンピースを着て、夕食を作っている私のことをじっと見ていたの。なぜかはわからないけど、ナニモノカは間違えなく私だったの。」
叔母は、家族と今も元気に暮らしています。
でも、あの日のことは、今でも時々ふと思い出すそうです。
Submit your review | |
コメント