26歳 旅行会社営業 男性 さんちゃんさん 奈良県郡山市で本当にあった心霊の怖い話
これは私が高校2年生の時に起きた実話の恐怖体験です。私が通っていたのは奈良県にある県立郡山高校です。
大和郡山城跡の学校で
その学校は大和郡山城というお城の跡に校舎が立っておりました。当時は冠山(かんざん)学舎と城内学舎という二つの校舎に分かれていました。その校舎間を移動するにはお堀の間を抜けていく必要があります。
間には公園があり、桜の木も植えられ遊歩道として整備されているため、日中は静かで親子連れもよく見かけます。
私は当時冠山学舎で授業を受け、城内学舎のグラウンドで部活をして帰るという日々を過ごしていました。
非常に勉強熱心な学校だったので、部活動は大体日が落ちるころには終え、帰路につくことが多かったです。
部活動の途中でボールが
部活動をしているとすっかり汗ばむようになってきた四月の末でした。
私はいつものように部活動をしていました。
私の係は入ってきたばかりの新入生に競技のルールや基本的動作を教える指導係の日でした。
終了間際に新入生の一人がつい勢いを余ってボールを天守側の堀にボールを落としてしまったのです。
本来なら、ボールを落とした人が回収に向かうべきなのですが、まだ入ってきたばかりだったこともあり、私が一人で探しに行くことにしました。
また、終了間際だったこともあり、ほかのみんなには先に引き上げてもらうことにしました。
そして私一人が残り、虫網をもってボールを探し始めました。しかしなかなか見つかりません。
普段であればあきらめてしまうこともあったのですが、なぜかその日は熱が入ってなかなかやめようと思いませんでした。
辺りはすっかり暗くなり・・・
ついに時刻は18時を回りあたりは真っ暗です。すると遠くのほうが光ったような気がしました。それは雷や車のライトのようなものではなく、ぼうっと何かが燃えるような光でした。
その瞬間温かい風が吹いたと思うと堀の反対側から藻と一緒にボールが流れてきました。
私は藻が絡んだままのボールを拾い上げ、手で払った後ポケットに入れ、引き上げました。城内学舎には誰も残っておらず、職員室の明かりも消えているようでした。
部室にボールを置いて着替えをすました私は部室の鍵を返すのをあきらめ持って帰ることにしました。本来であれば禁止されているので、朝早く来てばれないように返そうと思ったのです。
妙な音が聞こえる・・
昼間は明るい堀の間の遊歩道もこの時間は不気味です。駅に向かって早足で歩いていると後ろから「チャカ、チャカ」と音が聞こえてきます。そして堀に何か重たいものが落ちたような「ドッボン」という音も。
私はびっくりして足を止めて振り返りました。しかし真っ暗な道があるだけで何の音だったのかはわかりませんでした。私はもう一度前をむくと真正面に薄着のおじさんがたっていました。
私は「わっ」と声を上げ一目散に駅まで走りました。途中までずっと「チャカ、チャカ」という音がしていましたが駅前の街明かりが見えたころにはそれは見えなくなっていました。
その時私は部室に定期券を忘れていたのに気づいたのですが、戻る気にはなれずそのまま帰ることにしました。
翌朝ボールを拾うと
翌朝いつもより30分程早く起きて学校に向かいました。
昨日は真っ暗で怖かった道もいつもと同じ静かな道でした。部室のドアを空け定期を拾って気づきました。
昨日拾ったボールに何本もの長い髪の毛が絡みついていたのです。
昨日は暗くて藻だと勘違いしていたようです。その瞬間、昨日見たおじさんはただのおじさんではなく、昔このお城の合戦で死んだ人の心霊だったのだと確信しました。
変に冷静だった私は鍵を返した後、図書室に向かいました。「郡山城の戦い」。
大坂夏の陣の間際に起きたこの戦いで君主筒井氏に見捨てられた兵士約30名が討ち取られたのが1615年4月27日のことでした。
普段は怖い話などとは全く縁のない学校で起きた不思議な出来事です。
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