36歳 会社員 女性 さわらさん 神奈川県川崎市の心霊体験
あれは、私が小学校3年生のときに体験した実話です。
私の実家はその頃、バブル期とともに開発が進んだ多摩丘陵の中でも特に新しい区画に建てられた小高い丘の上にありました。
山を切り開いた土地に建てられた戸建て住宅が立ち並び、たぬきも見かけるほど緑も多く、良く言えば自然豊かな環境の中で育ちました。
弟が生まれたことをきっかけに、それまで横浜の大都会で暮らしていたのですが、小学校入学と同時に引っ越した私にとっては夜はさびしいと感じる環境でした。
リビングで感じた視線
そんなある夜のことでした。
まだ小さかった弟と一緒に、リビングのテレビでアニメを見ていたときです。
リビングの隣にある和室から、ふと視線を感じたのです。
そのとき、家の中には私と弟、母親しかおらず、母親は和室から見て反対側の台所にいて、父はまだ帰宅してなかったので、家の中には誰もいるはずはありません。
おかしいな、と思って和室のほうに目をやった時でした。
そこに、髪の長い女の人が居たのです。
その人は、半分開いていた和室のふすまから半分だけ体を傾けて私を見ていました。
髪の毛は真っ黒で、床について尚余るほどの長さで、肌は不自然なほど真っ白。白い和服を着ていました。
その肌の白さが、電気がついていなくて真っ暗だった和室の暗さを引き立てるようでした。
目と鼻は不明瞭でしたが、口が耳まで裂けていて、まるで笑っているようでした。
弟は気が付かず
その佇まいから、一瞬でこれが心霊だと幼かった私は直感しました。
それまで感じたことのなかった恐怖で体が凍りつき、縛られているかのように体が動かせませんでした。
そのまま見詰め合っていると、そのままその女の心霊はとてもゆっくりと体を起こしてふすまに隠すように引っ込んでいきました。
たぶん、数十秒くらいの時間でしたが、私には永遠のように長く感じられました。
心霊が消えたあとも、私は恐怖のあまりしばらく体を戻すことが出来ませんでした。
弟は私のすぐ横で座っていたのに、なにも気づいませんでした。
心霊を見てから時間が経っても、私はなかなか他の人に心霊を見たと言うことが出来ずに居ました。
祟りを恐れるということではなく、根源的な恐怖で誰にも言えなかったのです。
成長し霊体験を母に告白したが
小学校を卒業する頃、やっと私は母親に心霊を見たと言うことが出来ました。
その間に心霊こそ見なかったものの、風もないのに私の部屋の扉をドンドンと叩く音がしたり不思議な体験はありました。
私が心霊を見たと言うと、母は笑ってたぬきにでも化かされたんじゃない、と言いました。
それにしてはもっと何か人間の怨念のようなものを感じていたので、たぬきに化かされたというのは全く腑に落ちません。
しかし、それから中学生になってからは心霊を見たり不思議な体験はなくなって、自然と心霊のことは忘れていきました。
ネットで調べたら歴史的に不浄な場所だった
その後、大人になり実家を出て一人暮らしをしてしばらくした頃、小学校の同窓会があり実家に帰る機会がありました。
そのとき、ふと気になってパソコンで実家の周りの歴史を少し調べてみたのです。
そうしたら、私の実家のあるあたりは鎌倉時代から戦国時代にかけてお城があり、戦国時代に攻め落とされて焼き払われたことが判りました。
お城には女性も沢山勤めていたはずですから、もしかしたら私が見た心霊は敗戦し自決したり城と一緒に焼かれた女性の霊だったのかもしれません。
霊は死んでから長時間経つと姿が崩れて通常の人間の姿形を保てなくなると聞いたことがあるので、戦国時代に亡くなってずっとそこにいるうちに異様な姿となったのかもしれません。
その後その実家が建っていた家も、私と弟が独立したため両親が引越し、今は違う人が住んでいます。
もう私があの家を訪れることはありませんが、もしかしたらまた別の誰かがまた心霊に遭遇しているのかもしれません。
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