36歳 コールセンター 男性 makotoさん 青森県十和田市で本当にあった怖い話
幽霊の存在をはっきり感じるようになったのは、高校生の頃でした。霊感の強い父の影響で不思議な経験は多く、更にとにかく霊に好かれやすい私の体質。それがもとで経験してきた心霊体験の一つを今回紹介します。
友人との恐怖のドライブスタート
これはお盆のある日、地方に散らばった仲良し三人組が集まった時に体験した実話です。
当時私達は19歳で、地元は青森県です。
積もる話はあったのですが、一人だけ地元に残った友人が車を購入したという話が盛り上がり、その日はちょっと遠出でドライブをする事になりました。
高校時代では出来なかったことに三人とも異常にワクワクしていました。
目的地を話し合い、青森市から奥入瀬渓流という場所へのドライブに決定しました。
ある滝で感じた嫌な危機感
青森市から奥入瀬渓流へ向かう場合、一般的には八甲田山という山を越えなければいけません。
奥入瀬渓流は観光地なので、バスが通れるほどに道路は整備されています。しかしそれでも山道、初心者向きの道ではありませんし、青森では毛嫌いする人が多い道でもあります。
まぁ、元々交通量も少ないし、ゆっくり行けば大丈夫であろう、と私達は出発しました。確かに徐々に道は険しくなったのですが、
「怖い~、落ちる~!」
まるで絶叫マシンにでも乗っているかのように、冗談を言いながら楽しんでいました。
その日は雲一つない晴天で、無事奥入瀬渓流に到着。楽しみ方は幾つかあるのですが、私達は自転車をレンタルして、サイクリングをすることにしました。
30分ほど渓谷沿いに自転車を走らせていると、左手の少し奥に入った場所に小さな滝を見付けました。私達は一度自転車を止め、滝に近付こうとしたのですが、私は突発的に嫌な予感がしました。
(ここは、ヤバいな・・・)
あまりに確信的だったので、友人を説得し、私達は来た道を自転車で戻り始めました。
突然壊れ始める車たち
ほとんど会話することもなく、一列になり、帰り始めました。私は一番後ろだったのですが、どうも背中と左腕に異様な痛かったんです。
(憑いてきているな・・・)
強い静電気のような痛み。ただ止まることも出来ないので、ひたすら自転車を漕ぎ続けました。
やっと自転車を返し、帰ろうとした時でした。
駐車場から大きな警告音がしたんです。私は初めて聞いた音でしたが、友人は、
「こんなところで車の故障なんて可哀そう」
と、やや余裕でした。しかし、一台、また一台と警告音を鳴らす車が増え始めたのです。
さすがに友人も異常に思い、急いで車に駆け込み、帰ることにしました。
帰り道は、来た時が嘘のように濃霧が立ち込めていました。友人はスピードを落とし、かなり慎重に運転していました。
私は後部座席に乗っていたのですが、時折後ろから女性の笑い声のようなものが聞こえたのですが、私は敢えて何も言わず、このまま無事に帰れることだけを願っていました。すると突然友人が大きな声で叫んだんです。
「噓でしょ!?」
「どうしたの!?」
「ブレーキが効かない・・・」
運転する友人は震えていました。車内は大パニックで、友人はとりあえずスピードを落とし、私は常時携帯している数珠を握り締めました。
そんな状態が30分頃続いた時です。霧の中から突然男性が現れたのです。
「あ!!」
と三人は叫んだ瞬間、車が急ブレーキをかけたように停止しました。
人を轢いたと思い、震えていた友人を運転席に残し、念のため車外を見てみました。しかしもちろん男性はいません。
だってその男性は、幽霊なんですから。
結局通常の二倍以上の時間をかけて、私たちは何とか無事に帰りました。
実は有名な心霊スポットだった
八甲田山も奥入瀬渓流も元々心霊現象が後を絶たないということを後ほど調べて知りました。
主に夜体験される方が多く、私のように昼に経験する方はかなり稀でしょう。
特に八甲田山で出会う霊に関しては怖い話ばかりでしたが、私の見た男性の印象は、寂しさと何処か温かさのようなものも感じました。
滝で出会った霊、霧の中現れた男性、あの日起きた異常な体験の因果関係はわかりません。
ただ、せっかく三人で集まったあの日が忘れられない恐怖の記念日となりました。