岡山県新見市のキャンプ場で遭遇した知人の恐怖体験

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42歳 自営業 女性 彩那成生さん 岡山県新見市で本当にあった怖い話

私は趣味でソロキャンプをしている。

地元の河原でいつものようにキャンプをしていると、たまたま知り合いのベテランキャンパーに遭遇した。

年は50代ぐらいのキャンプ歴20年の人。名前は藤井(仮名)さん。久しぶりの再会に焚火をしながらいろいろと話し込んでいくうちに怖い話があるかと尋ねたところ、さっきまで終始笑顔だった藤井さんの顔が急に曇りだし、

「怖い話かい?1つだけ、あるよ。」

ということで聞かせてくれた藤井さんの実話をお話しします。

藤井さんはいつものように週末には決まってソロキャンプへ出かけている。

ひとり身だった事もあって、自由気ままにソロキャンプを楽しんでいるとの事だったが、ある日、いつものようにキャンプをするため岡山県のとあるキャンプ場へ向かった。

人手も少ないと聞いてのんびり過ごせそうだと思ったそうだ。現地に着き、受付を済ませてキャンプ地へ向かうべく、木々が覆い茂った林の中へ進んでいく途中、異様な寒気が襲ってきた。

気候は春先というのもあり、この地域ではまだ気温が低いのだろうと気に留める事はなかったが、奥に進むにつれ寒気が強まり、辺りは薄暗かった。

曇りだしてきたのだろう思い、気にせず向かって行った。

林を抜けてようやくキャンプ地に到着したが、辺りは人ひとりいない。

人出は少ないとは聞いていたとはいえ、その時の静けさは異様に思い、若干気味の悪さを感じたという。キャンプ場の設備は、古びた炊事場とコンクリートで囲われた、薄気味悪い便所のみでだだっ広い原っぱといった場所。

星が綺麗に見えるのかもしれないなどと思い描きながらテントを張り、夕食の準備をしながらキャンプを満喫していた。

辺りも暗くなり、焚火の炎が赤々と火の粉を上げながら、照らされていく中、食事も終わった事もありうとうととしかけた頃、遠くの方からズシッ、ズシッとゆっくりと歩く音が聞こえてくる。

誰かこの時間に来たのかと思い、足音のする方へ眼をやると誰もいない。

眠い目をこすりながら再度見てみるが、誰もいない…。が、足音はゆっくりとこちらへ近づいてくる。

だんだんと近づいてくるにつれ寒気が走り、気味悪く感じた藤井さんはすぐさまテントの中に入り、寝袋に身を潜めていた。 足音はこちらに近づくにつれ背中や額から冷たい汗が流れてくるのを感じていた。

次第に足音はテントの前まで近づくとピタリとやんだ。一気に恐怖に襲われながら身を潜めていると、

「すいません…。ちょっとよろしいでしょうか…。」

焚火の火の明かりから、テント越しに人影が見えた。 恐る恐る様子を伺うと

「こんな夜更けにすみません。 実は薪が無くなってしまいまして、ご迷惑でなければ焚火で
暖をとらせて頂けませんか?」

男性の声が聞こえ、ゆっくりとテントの中から顔を出すと、目の前に体を前に屈めながら、申し訳なさそうにこちらをうかがう中年男がいた。その様子からして、気味の悪い幽霊ではなさそうだと安堵した藤井さんはテントから出た。

「お休みのところすみません。この時間でありながら薪が無くなってしまい焚火が出来ないもので、寒さをしのぎたくて、ちょうどこちらの焚火が見えましたので、つい足早に向かってしまいました。」

「それはお困りでしょう。是非、当たっていって下さい。」

この静けさの中、足音だけが向かってくる恐怖心を抱えていた藤井さんは、他にもキャンプをしている人がいた事に安心し、快く中年男の申し出を受け入れた。

中年男は例を言うと焚火の側で暖を取っていた。

ふと男の方をみると、この寒さの割には随分軽装な格好であり、どこかの作業員なのか灰色の薄汚れた繋ぎの作業服のみだったことに少し驚いたそうだ。

「こんな夜更けにその格好では、さぞかし寒かったでしょう。良かったらこれでも飲んで温まってください。」

と男にコーヒーを差し出した。

男は礼を告げ、コーヒーを受け取りゆっくりと飲みながらじっと焚火の火を見つめていた。

この静寂な場所をひたすら寒さに耐えて来たのだろうと男を不憫に思った藤井さんはテントの中から持参していた毛布を男の肩にかけた。

毛布を掛けようとした際、やはり男の身体へ冷え切っていたようだった。

また、男のわりには随分ときゃしゃな体つきであったため、ちゃんと食ってるのかと思ったそうだ。

「何か、食べますか? 大したものはありませんが…。」

と食べるものを探そうとするが、

「いえ、大丈夫です。コーヒーまで頂いて、焚火で暖を取らせて頂けるだけで十分です。ありがとうございます。」

「そうですか。ここでは、キャンプで来られたんですか?」

「…いえ、キャンプではないのですが、まあ、仕事といいますか…」

口ごもった感じであったため、言いづらいのかと思い、それ以上つっこんで聞かないようにと思い、お互いに話が弾まないこともあり、静かに暖を取り、コーヒーを飲みながら時間を過ごした。

どのくらいの時間かと時計を見ると深夜1時を回っていた。睡魔に襲われた藤井さんだったが、男の事が気になり

「もうこんな時間ですので、良かったらテントで休んでください。 私は焚火の番をしてますから。」

「いえいえ、とんでもない…。私は大丈夫ですので、テントでお休みください。」

「そうですか。なんか申し訳ない…。 ゆっくり焚火で温まってくださいね。おやすみなさい。」

「おやすみなさい…。」

最後の挨拶だけ交わすと、テントに入り眠りに入ろうとするとテントの外から、
「ご親切にありがとう…。最後にあなたに…」

と聞こえたようだったが、睡魔に勝てずそのまま眠りについた。

早朝の明るさと共に、冷え込んだ空気を感じながら、藤井さんは目を覚ました。

テントから外を見上げると、焚火は既に消えており、男の姿は無かった。 外に出て、男がいないか辺りを見回すと誰もいない。

焚火の火も消えたから帰路に戻ったのだろうと思い、片づけを始めた。

朝を迎えたとはいえ、辺りの静けさを感じた。

片づけが終わり、キャンプ道具を運び終えると用を足しにトイレに向かうが、そこでまたあの時の嫌な寒気を感じた。やはりこのトイレは気味が悪い…。と思いながらも仕方なくトイレへ向かい、用を足していると個室から嫌な気配を感じた。日の光が差し込んでくるにもかかわらず、暗く異様な不気味さを増していた個室を見ないようにトイレから出ようとすると、

「すいません…。」

聞き覚えのある声だった。 昨晩焚火で暖をとっていたあの中年男の声だった。

「あっ、おはようございます。 体、しっかり温めましたか?大丈夫でしたか?」

ほっとしたかのように、返答した藤井さんだったが、辺りを見回しても男の姿は見当たらない。しかし、男の声は続く。

「昨晩はありがとうございました。本当に助かりました。」

トイレの中は藤井さんただ一人。男の声は、個室から聞こえてきた。が、個室のドアは空いている。しかし、男の声は続く。

「あなたがいてくれて、本当に良かった。助かりました。」

どこから声が聞こえてくるのか、どこにいるのかわからない中、背中の方で一気に寒気と恐怖を感じながら、男を探す。トイレの外に出たが男はいない。

「最後にね、あなたに…」

と背後から声が急に近くなり、驚いて振り向くと、首が紫色になるぐらい何かに締め付けられた後と
目玉が飛び出し、鼻汁やよだれを垂れ流し、皮膚が腐敗しきって茶色化した作業服の昨晩の男が

「最後に会っていたら、死ななかったのになー…。」

「ぎゃああああああ!!幽霊!!」

藤井さんは倒れこみ、気を失ったそうだ。

藤井さんが気づいたときには業者の人間に呼び止められて気づいたとの事だった。

話によると、ある男が山林で首つり自殺を図ったという。それからというもの、地元の間では男の幽霊が出るという噂がひろまったそうだ。

藤井さんは、幽霊って本当にいるんだぞ。といい、深くため息をつきながら、怖い話を聞かせてくれました。

この手の話は非常に多く、例えば山小屋でお風呂に入り、他の入浴者と入っていたところ幽霊だった・・・など、色々聞きますね。
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