28歳 市役所職員 男性 めいるさん 千葉県で本当にあった怖い話
4年前の夏、友人たちと鴨川での観光を楽しみ、夜になってから千葉市の自宅に戻る途中のことでした。帰り道、地元では有名な「奥米トンネル」の近くを通ることになり、私たちは急遽その場所に立ち寄ることにしました。奥米トンネルは心霊スポットとして知られており、地元では「一度通れば何かに取り憑かれる」「奇怪な現象が起こる」といった噂が絶えない場所だったのです。
観光気分でまだハイテンションだった私たちは、軽いノリで「ちょっと寄ってみようか」と話し合い、深く考えずにトンネルへと向かいました。しかし、夜の闇の中に浮かぶその古びたトンネルを目にした瞬間、全員が自然と無口になり、何とも言えない不安が広がりました。トンネルの周りには街灯もなく、ヘッドライトに照らされたコンクリートの壁だけが浮かび上がり、狭く、冷たく、そして異様な雰囲気が漂っていたのです。
車内の雰囲気も次第に重くなり、誰もトンネルに入りたくないという気持ちが表情に出ていましたが、誰かが「せっかくだから行こう」と言い出し、全員が無言のまま頷きました。トンネルに近づくと、車内が急にひんやりとした空気に包まれ、エアコンもつけていないのに温度が急激に下がったように感じました。何かが車内に入り込んだような感覚がありましたが、それを無視して車はトンネルへと進んでいきました。
奥米トンネルに入ると、思っていた以上に狭く、懐中電灯の光が壁に反射して揺れ動きました。トンネル内は静かで、車のエンジン音さえもどこか遠く感じられました。しかし、その静寂の中で、どこからともなく「コツ…コツ…」という足音が聞こえてきたのです。もちろん、僕たちは車に乗っているので、足音が聞こえるはずがありません。しかし、その音は徐々に大きくなり、まるで誰かが車の後ろから近づいてくるかのように響いていました。
「これ、ヤバいかも…」と誰かが言い出し、全員が背筋を凍らせていました。出口が見えた瞬間、車の後部から突然「バン!」という大きな音がしました。全員が一斉に振り返りましたが、後ろには誰もいない。しかし、明らかに何かが車に触れた感触が残っていたのです。
パニックになりながら、運転していた友人が急いで車を出口へ走らせました。トンネルを抜けた後も、車内には沈黙が続きました。全員が何かを感じていたのに、それを言葉にすることができなかったのです。すると突然、運転していた友人が「後ろ…見ない方がいい」と震えた声で言いました。僕たちは動けず、バックミラーを見た彼が顔を真っ青にしているのを確認しました。
その後、私たちは千葉市内の自宅に戻ることができましたが、その夜、不思議な出来事が起こりました。家に着いてすぐ、僕のスマートフォンに見知らぬ番号からの電話がかかってきたのです。画面には「非通知」と表示され、何の心当たりもなかったため、気味が悪く感じながらも電話に出てみました。しかし、相手は何も話さず、ただ静かな呼吸音が聞こえるだけでした。数秒後、電話は突然切れました。
翌日、他の友人たちにも同じような無言電話がかかってきたことを聞かされ、僕たちは何かに追われているのではないかという恐怖に駆られました。さらに、数日後、運転をしていた友人が、不可解な事故に遭いかけたと言います。車を運転中、ブレーキが突然効かなくなり、道をそれそうになったというのです。彼は必死で車をコントロールして無事でしたが、その瞬間、バックミラーに一瞬、後部座席に座る誰かの姿が見えたと語っていました。
その出来事以来、僕たちは二度と「奥米トンネル」に近づかないことを決めました。トンネル内で感じた異様な気配、車に触れた何か、そしてその後に続いた奇妙な現象の数々。それらが単なる偶然だったのか、本当に何かに取り憑かれたのかは分かりません。しかし、あのトンネルには確かに「何か」が存在していたのだと思わざるを得ませんでした。
奥米トンネルは、ただの廃れた古いトンネルではありません。そこには、私たちの常識を超えた何かが潜んでいます。もし君津市を訪れる機会があったとしても、この場所には決して近づかない方がいい。奥米トンネルを通る時、あなたの背後に誰かがいるかもしれません。それが何か分かった時には、もう戻れないかもしれません。