50歳 派遣社員 男性 ごっちょさん 宮城県で本当にあった怖い話
私は3年ほど前に東京の会社を辞め、地元の仙台に戻ってきました。
実家では母と兄が同居しておりますが、母親も高齢となり兄ばかりに任しておくのも大変だなと思っていました。
自分も近くに居ればいざというときには、少しは何かの足しになるのではということで、たまたま実家のすぐ近くに空き家があり、そこに住むことにしました。
この空き家というのは、親戚が所有していた借家でありましたが、20年ほど前から誰も住んでおりませんでした。
この借家を譲り受けリノベーションを行いました。
建物そのものは新しいですが、庭の部分は手つかずで草はボウボウの状態であったため、天気のいい日は草むしりや改修時に出た木片や釘などを拾い集めることが日課となっています。
それは、ある夏の炎天下でいつものように庭いじりをしていた時のことです。
音楽を聴きながら夢中で作業をしていると、左の二の腕部分を衣服だけを摘まむように結構強く二回ほど引っ張られました。
感じとしては女性がちょっとちょっと聞こえているの?と何度か呼んでいるが聞こえていない人にやる仕草です。
そんなことが日をまたいで度々ありましたが、特に気にすることもなく過ごしていました。
いつものようにまた庭いじりをしていたある日です。
買ってきた牡丹の苗木を植えようと、どこがいいかと場所を選んでいたところ、以前からなぜか気になっていた縁側の軒下に決めました。
そこは建物に隣接しているので、特に改修時の木片や硝子片などが土の中から出てきました。
ガラと小石とを分別しながら土を掘り進めていきます。すると白い粉が土の中から出てきました。
石膏ボードの廃材でも出てきたのかと思い、更に深く掘っていくと土がやわらかくなっていきました。
今度は10センチほどの湾曲した骨のようなものが何本か出てきました。ケンタッキーの食べかすのようなものです。
前の住民が鳥でも飼育していて軒下に埋めたのだろうと想像しました。
気にはなりましたがどうすることもできないのでごみと一緒に廃棄しました。
それから数日過ぎたころ母親と話す機会があったので、その件を聞いてみました。
そうすると以前住んでいた住民というのは母娘二人暮らしでアメリカンショートヘアーを飼っており娘さんがすごくかわいがっていたそうです。
死んだときは隣近所に聞こえるぐらい大きな声を出して泣いていたと言っていました。
娘さんは今は別のとこへ引っ越して健在だとのことです。
あの時、袖を引っ張っていたのは娘さんの思いが、いつまでも猫がそこに埋まっているのがかわいそうなので、わたしに何とかしてほしいということだったと思っています。
それを聞いてからは自分の気分転換も含めて線香を焚くことを日課としています。今年もえんじ色の牡丹がきれいに咲いてくれました。