23歳 レストラン調理員 男性 ばなばなさん 東京都八王子市で本当にあった怖い話
東京都八王子市にある八王子城跡。
そこは、戦国時代の戦いで多くの命が失われた場所として有名で、心霊スポットとしても囁かれる場所です。そんな場所で、学生時代に僕たちが体験した一夜の出来事は、今でも忘れることができません。
それは、5年くらい前の夏の夜のことでした。大学の友人4人と共に、肝試しをすることになったんです。僕たちは好奇心旺盛で、心霊スポット巡りが趣味のようなものでした。八王子城跡が噂になっていることを知り、「本当に怖いのか、確かめてみよう」と軽い気持ちで訪れることにしました。女の子もいたので少しモテたいという打算もあったかもしれません。
霧に包まれた城跡
八王子城跡に到着したのは、夜の9時過ぎでした。夏とはいえ、山の中は少し肌寒く、周囲はしんと静まり返っていました。車を降りると、辺り一面が霧に包まれていることに気づきました。霧は徐々に濃くなり、まるで僕たちを飲み込むように城跡を覆っていきます。
「なんか、やばいかもな」と、早くも友人の一人がぼそりと呟きました。まだ、何も起きていないのに…
でも、誰もその場を離れる気にはなれませんでした。むしろ、薄暗くなっていく雰囲気が僕たちの好奇心を一層かき立てたんです。
僕たちは、懐中電灯を片手に、城跡の山道を進み始めました。道は細く、両側には鬱蒼とした木々が生い茂っていて、心なしか木々の間から何かがこちらをじっと見ているような感覚がしました。
足音とささやき声
道を進んでいると、背後から足音が聞こえ始めました。
最初は、僕たちの中の誰かが歩く音だと思っていたんですが、どうもおかしいんです。足音が、僕たちの歩調に全く合っていないんですよね。
「誰か、ついてきてる?」友人の一人が恐る恐る振り返りながら言いました。
しかし、振り返ってもそこには誰もいません。ただ、霧が濃くて見通しが悪いだけ。そう思おうとしましたが、どうしてもその足音が気になって仕方がありませんでした。
さらに進んでいると、今度は耳元で何かが囁くような音が聞こえてきました。かすかな声で、何を言っているのかはっきりとは分からなかったんですが、その声は冷たい感触を伴っていて、心臓がドクンと跳ね上がるような恐怖を感じました。
「ちょっと、やっぱり引き返さないか?」普段は冷静な友人が、少し怯えた声で言い出しました。
僕たちも同じように感じていたんですが、誰も口に出せなかったんです。でも、ここまで来た以上、引き返すのも悔しい。そう思って、結局そのまま進むことにしました。
謎の白い影
僕たちが進んでいくと、急に霧が一段と濃くなりました。もう懐中電灯の光すらほとんど届かない状態で、周りがほぼ真っ暗でした。
その時、前方にぼんやりと白い影が見えたんです。最初は霧が反射しているだけかと思ったんですが、その影が徐々に形を成し始め、女性のような姿になっていくのが見えました。
「見える?あそこに誰かいる・・・」
友人がそう言った瞬間、影はゆっくりとこちらに近づいてくるように見えました。僕たちは息を呑み、その場に凍りついたまま動けなくなりました。影は徐々に明確になり、白い着物を着た女性のように見えました。
その女性は、顔がはっきりと見えないまま、ふっと消えてしまいました。僕たちはその瞬間、恐怖のあまり声を出すこともできず、ただその場に立ち尽くしていました。
不気味な石段と戦の記憶
しばらくして、僕たちは意を決して先に進むことにしました。すると、古びた石段が目の前に現れました。この石段は、かつて八王子城があった場所へと続く道だと聞いていました。だが、この石段に足を踏み入れた途端、急に空気が重くなったのを感じました。
その時、不意に目の前が暗くなり、意識が遠のいていくような感覚に襲われました。まるで時間が巻き戻るかのように、僕たちは戦国時代の戦場に引きずり込まれているかのようでした。
突然、耳元で「助けて・・・」という声が聞こえたんです。最初は、誰かのいたずらかと思いましたが、周囲を見渡しても誰もそんな声を出している様子はありませんでした。むしろ、みんな同じように恐怖に凍りついていました。
「ここ、本当にヤバいって・・・・」
友人の一人が震える声で言いました。その瞬間、僕たちは全員が同じ思いだったことを確認し合い、その場を一目散に駆け下りました。走りながらも、背後から何かが追いかけてくるような感覚があり、振り返ることさえできませんでした。
車の中で起きた異変
やっとの思いで車に戻り、全員が無言で車に乗り込みました。エンジンをかけ、急いでその場を離れようとした瞬間、車のミラーに映ったものに全員が凍りつきました。
ミラーには、先ほど見た白い影が映っていたんです。しかも、その影は徐々に車に近づいてくるように見えました。もう全員がパニック状態で、友人がアクセルを踏み込んで車を発進させました。
その後、僕たちは無言のまま高速道路に乗り、ようやく安心できる場所に着いた時には、すでに深夜を過ぎていました。
忘れられない恐怖の夜
あの夜の出来事は、僕たち全員にとって忘れられない恐怖体験となりました。八王子城跡が持つ歴史の重みと、その場所に残る何かが、僕たちに強烈なインパクトを与えたのです。
肝試しなんて軽い気持ちで行ってしまいましたが、あの夜の出来事は本当に現実離れしていて、僕たちを深く恐怖させました。
これから八王子城跡に行くことを考えている人は、十分に注意してください。あの場所には、まだ何かが残っているのかもしれません。心霊スポットと言われる場所には、それなりの理由があるのだと、僕たちは身をもって知ることになりました。