37歳 塾講師 女性 旭さん 大分県別府市北浜の旅館で本当にあった怖い話
大学の卒業旅行。男女7名でキャンパスに集合して、九州半周しようと2泊3日予定、車2台で福岡を出発しました。
女子は私だけ。私は多少霊感があり、研究室に寝泊まりしているときも、研究に疲れると、時折、怖い話をすることがありました。
行きの車内で音楽プレーヤーの異変
車を出したのは私と、留年確定したけど旅行に参加した男子。今回の旅行はすべて私が予約、コース決めをしたので、私が先導を切って目的地へと出発しました。
学生の貧乏旅行なので、下道でのんびりと、ドアライブ感覚で大分へ向かいました。途中で後続車に電話を入れたり、手を振ったり、何の音楽を聴いてるのかを尋ねたり、2台で向かっていても7人一緒にいる感覚でした。
峠を越えて、大分に差し掛かったあたり。後部座席の1人が「何か音量小さくなってない?」と言い出しました。そんなことはない、不具合が多かったから最近買い替えたばかりの音楽プレーヤーを繋いでいるのに…と思ったのも束の間、今度は音が途切れ始めました。
「何でだろう?」と思いつつも、気にすることもなく一旦コンビニに寄り、お手洗い休憩をし、目的地までの時間や道の打ち合わせを済ませ、再度出発しました。
旅館に到着
そうこうしているうちに、あっという間にオーシャンビューが美しい、海辺の旅館に到着しました。
チェックインをしようとフロントに向かうと、ちょっとご機嫌斜めそうな仲居さんが対応してくださったのですが、実は当日高熱を出して1人キャンセルになっていたのを、考えの甘い私は到着してから言えばいいか、と後回しにしていて、途中のコンビニで電話連絡を入れたのが、到着1時間前という直前すぎたことが原因でした。
当然のことですが、キャンセル料を払うことになり、みんなで「あの言い方はないよね」とか「病気だから仕方ないよね」とブーブー文句を言いながらお部屋に上がっていきました。
しかし、何の気配もなかったのに、大女将であろう女性が後ろにいて、「せっかくの卒業旅行、来られなかった学生さんも残念だろうけど、あなたたちも一緒に居られないのも淋しいわよね、本当だったらキャンセル料を頂戴するのだけど、今回は特別よ!」とおっしゃってくれて、みんなで顔を見合わせ、「やったー!!本当にありがとうございます!」となり、荷物を置いてすぐに温泉に入ったり、ちょっと横になってゆっくりしたり、夕飯の時間までを自由に過ごしました。
繁華街で食事、遊びを済ませ戻ってきてから
朝まで飲みながら語り明かそう、とのことで、お酒やお菓子を買い込み旅館に戻り、1部屋で大学時代の思い出を語りながら、大富豪して負けた人が一気飲みをしたりしていたら、ふと外から「シャンシャンシャンシャン…」と、笠をかぶったお坊さんが手に持って歩いている棒?鈴?のような音が聞こえてきました。
え、ここ7階だし…その音は遠くからどんどん近づいてくるように大きくなってきて、背筋がぞっとしてきたので振り返ると、押し入れの戸が少し開いていて、キラっと光って見えたのでみんなの方を振り返ると、天井の電気の笠が窓も開けていないのに大きく揺れ始め、1人をめがけてすごい勢いで落ちてきました。
1人は恐怖で震え、布団にくるまり、1人はふざけて騒ぎ出し、私はとっさにお経を唱え、訳の分からない状況だけど、冷静にならねばと自分の部屋に行こうとするも、私だけが1人部屋だったので、みんなと離れるのも怖くなり、身動きが取れず、ひとまずフロントに電話を入れるも23時で少しお待ちくださいとのこと。
まもなく仲居さんが来て、電気の笠が落ちてきた旨を話し、窓の外から聞こえた鈴の音のことも話しました。
すると…なんと私たちのお部屋の音が聞こえてきた窓側は堤防すぐの海岸沿いでありえないと言われました。
とにかく寝よう
とにかく寝ようとなり、朝一で大女将さんを探して話を聞いてみよう、となりました。私は寝れず、運転は交代する約束だったので、寝ている男子たちを横目に、一晩中お酒を飲みながら、実況見分を始めましたが、どれもこれも考えても話がまとまりませんでした。
早朝になり、恐怖心はあるものの、明るかったのと何人か起きて来たので、みんなで行こうと温泉に入りに行きました。
部屋に戻り朝食を食べに広間へ行くと、数名の仲居さんがいらっしゃったので、大女将の話を聞きたいから会いたいと伝えると、「大女将は今寝たきりで入院中ですので、お会いにはなれません。」と答えられ、再度恐怖を感じました。
結局、何が何だったのか、いまだに解決できていないまま、いまだに私たちの同窓会の席では話題に上がりますが、後日、お礼のお手紙をお送りした際、ご丁寧にお返事の葉書を頂き、その日の早朝、大女将がお亡くなりになられたと書いてありました。
一つ言えることは、もしかすると大分に入ったあたりから大女将さんが近くにいたのかもしれません。