大学時代の肝試しで遭遇した青山墓地の恐怖体験

今でも思い出すたびに背筋が凍るような出来事があります。

それは、私が大学生だった頃、落語研究会、通称「落研」の恒例行事として行った肝試しでの体験です。あの夜の出来事が、私にとって初めての本格的な心霊体験でした。話すこと自体が今でも少し怖いですが、聞いてもらえるならばお伝えしたいと思います。

落研恒例の肝試し

私が通っていた大学の落研では、毎年夏になると「肝試し」を行うのが恒例でした。会場となるのは、都内の心霊スポットの中でも特に有名な青山墓地です。

青山墓地は、都心にありながらもその広大さと静けさから、昼間でもどこか不気味な雰囲気を漂わせています。私たちはその場所を夜に訪れることで、少しでも怖さを味わおうという趣向でした。

その年、私たちは例年通り青山墓地での肝試しを企画しました。落研の仲間たちと共に、昼間から準備を進め、夜になるのを待っていました。肝試しのルートは決まっており、墓地の入り口から奥に進み、いくつかの指定された場所を通って戻ってくるというシンプルなものでした。

しかし、簡単だからこそ、何かが起こるのではないかという不安が募るのです。

霊感のある仲間と始まった恐怖

私たちの中には、霊感があると言われている仲間が一人いました。彼は普段は冗談ばかり言っている陽気な性格でしたが、その日は珍しく真剣な表情をしていました。「今日は何か感じるかもしれない」と、彼は何度も繰り返していました。

正直なところ、私はその言葉を半信半疑で聞いていましたが、彼の様子がいつもと違うことに気づいてからは、少しだけ緊張感が増していたのも事実です。

夜9時、いよいよ肝試しが始まりました。私たちはペアに分かれて順番に墓地の中へ入っていきました。私のペアは、その霊感のある仲間でした。彼が真剣な顔で周囲を見渡しながら歩くのを見て、私も自然と背筋が伸びました。

墓地の中は想像以上に暗く、街の明かりが届かない場所では、まるで別世界のような静けさが漂っていました。私たちは懐中電灯を頼りに進んでいきましたが、その光さえも不気味に感じるほどでした。

体育館近くでの異変

青山墓地の隣には、昔からある学校の体育館が今も建っています。肝試しのルートには、その体育館の近くを通る場所が含まれていました。夜の体育館は、静まり返っていて、その不気味さは墓地にも負けないほどです。

仲間の一人が「この体育館、夜中に歩いていると足音が聞こえるって噂だよ」と冗談混じりに言っていましたが、私はその言葉を聞いた途端、なんとなく嫌な予感がしました。

体育館の横を通り過ぎる時、霊感のある仲間が急に立ち止まりました。「ここで何か感じる…」と彼がつぶやいた瞬間、私の背筋が一気に寒くなりました。私は「何が見えるの?」と聞きましたが、彼はただ「何かがいる」と言うだけで、言葉を濁していました。

その時、突然私の腕に冷たい感触が走りました。振り返ると、誰もいないはずの場所から、何かに腕を掴まれる感覚があったのです。私は驚いて声を上げそうになりましたが、恐怖で声が出ませんでした。

その間も、霊感のある仲間はじっと体育館の方を見つめていましたが、私ももう耐えられず「早く行こう」と彼に言いました。彼も無言で頷き、私たちはその場を離れました。

墓地の奥での心霊体験

体育館近くでの異変に怯えながらも、私たちは肝試しのルートを進みました。墓地の奥に進むにつれて、周囲の静けさが一層際立ち、ただ歩くだけで心臓の鼓動が大きく聞こえるようでした。途中で何度も背後に誰かがいるような気配を感じましたが、振り返っても誰もいません。それでも私たちは無言のまま歩き続けました。

ある大きな墓の前に差し掛かった時、突然霊感のある仲間が「ここだ…」とつぶやきました。彼はその墓の前で立ち止まり、何かに引き寄せられるようにじっと見つめていました。私が「どうしたの?」と聞くと、彼は「この場所…何かがいる」と言いました。

その瞬間、私たちの耳元で誰かがささやくような声が聞こえたのです。「帰れ…」確かにそう聞こえました。私は恐怖で足がすくみ、その場から動けなくなりました。霊感のある仲間は、「もう限界だ」と言って、その場から走り出しました。私もそれに続いて全速力で墓地の入り口に向かって走りました。

無事に戻った後の不思議な出来事

なんとか墓地の外に出た私たちは、放心状態でした。落研の仲間たちが「どうしたんだ?」と心配そうに声をかけてくれましたが、私は言葉にならず、ただ「何か見た…」とだけつぶやきました。霊感のある仲間も蒼白な顔をしており、彼も「確かに何かがいた…」とだけ言いました。

その後、私たちはその体験を落研の仲間たちに話しましたが、みんな半信半疑でした。それでも、私たちが見たもの、感じたものは現実であり、あの場で何が起こったのかは今でもわかりません。ただ、確実に言えることは、青山墓地には何かが潜んでいるということです。

青山墓地の恐怖は今も続く

今でも青山墓地を通ると、あの夜の出来事が頭をよぎります。大学時代の仲間たとは今でも交流がありますが、あの時の話題になると、みんな口を閉ざしてしまいます。あの場所で私たちが何を見たのかは結局わからないままですが、確かに感じた恐怖と不気味な気配は忘れることができません。

もし、青山墓地に行くことがあれば、昼間の訪問に留めておくことを強くお勧めします。そして、もし夜に訪れることがあれば、決して一人で行かないように。あの場所には、何かが存在しているのですから…。

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